「文在寅」五輪後の命題は「李明博」追い落とし

国際 韓国・北朝鮮

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 北朝鮮に翻弄されつつ2月9日に開幕した平昌五輪。開会当日、内外の要人を招いた大統領主催歓迎レセプションでも、報道陣の視線は北の代表団の団長・金永南(キムヨンナム)氏に集中した。

「そしてもう一人。李明博(イミョンバク)元大統領の姿も秘かにマスコミから注目されていたのです」(在ソウル記者)

 じつは、五輪後に李氏が検察の聴取を受けるのはもはや既定路線。逮捕の可能性も非常に高いのだ。

「昨夏から韓国検察は、国家情報院改革を叫ぶ文在寅(ムンジェイン)政権に追従。国情院の選挙介入事件や、特殊活動費の上納事件を積極的に捜査していたのです」(同)

 国情院は、軍政時代の中央情報部を前身とする治安情報機関で、左派系の元闘士も多い現政権にとっては否定すべき存在なのだ。

 そして後者の事件は、その機密費が大統領府へ裏金として上納されていたという疑惑。捜査目標が朴槿恵(パククネ)前大統領と李氏の逮捕にあるのは公然の秘密だったが、強引な韓国検察でもさすがに証拠等が弱く壁があった。

「それが1月中旬、李氏の側近が口を割ったらしく、潮目が変わった」(同)

 すると1月17日に李氏が「報復捜査は止めよ」と声明を出した。“報復”とは、李政権時代に、汚職捜査で盧武鉉(ノムヒョン)元大統領を自殺へ追い込んだことを指す。弁護士時代から盧氏を兄のように慕い、盧政権では秘書室長であった文大統領にすれば、李氏は仇敵なのだ。

「新王朝が旧王朝を否定するかのように、前政権の要人を執拗に捜査、弾圧するのが韓国の政治文化です」

 と『悪韓論』の著者で評論家の室谷克実氏は言う。

「朴前政権も、いくつかの疑獄事件で李氏周辺を徹底して捜査しています」

 それでも本人は、韓国現代史には稀有な“無傷の元大統領”だったが……。

「ただ、李氏の声明は、盧政権時代の旧悪は押さえている、刺し違えるぞとの脅しにも聞こえる」(前出記者)

 冒頭のレセプションでは、一応あいさつも交わした文大統領と李氏だが……。

 報復ショーの季節到来だ。

週刊新潮 2018年2月22日号掲載

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