なぜ芸人は裸になるのか――ここ数年の“裸芸人ブーム”を演芸評論家が読み解く

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裸芸は素人芸の最たるもの

 今、最も非難を受けているのは、アキラ100%だという。産経新聞は17年6月に「『裸芸』近年は問題視 BPOに視聴者苦情」と報道。記事によると股間を隠し続ける芸に「もし局部が露出したら公然わいせつなどの犯罪になる」、「子供の教育に悪い」などのクレームが寄せられているとのことだ。

 また毎日新聞は17年8月の「みんなの広場」で、大阪市に住む11歳からの投稿を紹介した。冒頭で《最近のテレビはちっともおもしろくありません》と主張、《裸になってお盆をひっくり返す芸人をよく見ますが、全然おもしろくありません》と一刀両断した。

 最後は《ぼくはテレビがきらいではありません》としながら、《このままだとこの世からテレビは消えるかもしれません》とテレビ離れの加速を憂慮した。さすが笑いの都、大阪の小学生と感心すべきなのかもしれない。

 それにしても裸芸人の想像以上に長く深い歴史と、ここ数年のブームを、どう読み解くべきか、演芸評論家の吉川潮氏に聞いた。

「例えば高度成長期、忘年会や新年会、社員旅行というように、職場では今とは比べものにならない頻度で宴会が開かれていたものです。そこで若手社員が裸になるのは定番でした。『歌も下手だし、特技もないだろう。せめて全裸になって股間を皿で隠せ』と上司に命じられた60代、70代は多かったことでしょう。大学の体育会も酒を呑むと、よく全裸になりました。要するに裸は素人芸の代表格です。レベルは非常に低く、プロの芸人がやろうものなら、昔は軽蔑されたものです」

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