英BBC、自社発のニュースで大揺れ 男女の給与格差が発覚

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 この男女格差はあまりに酷い──。そう訴えたのは、世界に冠たるBBCの中国編集長で、北京発ニュースの顔としても著名なキャリー・グレイシーさん(55)。

「職責上はほぼ同等なはずの北米や中東担当の男性編集長たちが、自分の1・5倍も年俸を貰っていたことがわかったのです」(在英の女性ジャーナリスト)

 発端は昨年7月、英国では少し前から公務員などの給与公開が進んでいたが、公共放送であるBBCも、年俸15万ポンド(約2300万円)以上の職員を一定額の幅で区切った上で、その氏名なども公開したのだ。

 すると男女給与格差も画然とわかってしまい……。

「その差に説明を求めたグレイシーさんにBBCは、相手は記者歴30年の大ベテランなのに、あなたは“成長過程にある(イン・デベロップメント)”と言い訳したそうです」(同)

 侮辱だ、と意を決したグレイシーさんは、今年1月上旬からこの問題をブログなどで暴露。そして同月31日には英国議会下院の特別委員会に呼ばれ、「金額に不満なのではない。平等にして欲しいのです」と堂々と意見を述べた。なるほど正論だ。ちなみに彼女の年俸は13万5000ポンド。

「#MeToo運動だけでなく、英国ではちょうど女性参政権100年の節目の年でもあるので、このニュースはかなり大きい扱いです」

 と話すのは在英ジャーナリストの木村正人氏。

「英国の方が日本より女性の社会進出の間口は広いのですが、じつは給与面ではほぼ同レベル。だからこそ、英国女性にすれば給与増(ペイアップ)が男女格差の最後の壁。グレイシーさんたちメディアにいる女性にすれば、私たちがまず動かなければ、という使命感もあるのです」

 BBCの男性職員も女性職員の手前、年俸制の裏にあった隠微な格差に後ろめたさがあったのだろう。じつはこの件の報道に一番熱心なのもBBC。

 NHKも見習ったら?

週刊新潮 2018年2月15日号掲載

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