続投決定「杉本和行」公取委員長 “泣く子も黙る”伝説

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東大で司法試験合格

 金融庁が推進する地方銀行の再編にも、杉本氏は簡単には首を縦に振らないのだ。金融庁の職員がこう嘆く。

「地銀の再編は、金融庁の森信親長官の肝煎りです。ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行が経営統合を進めていましたが、公取が“長崎県内の貸し出しシェアが7割に達するので独禁法に抵触する”と判断して、事実上“破談”した。今や、杉本さんの“お許し”がなければ、地銀の統合は容易に実現できません」

 杉本委員長は、元財務省事務次官。公取委の歴代委員長17人のうち11人が財務省(旧大蔵省)出身。ちなみに、前任者の竹島氏も財務省出身で国税庁長官などを務めた後、公取委の委員長に就いている。杉本氏に仕えた経験を持つ財務省の現役官僚に聞くと、

「大学受験の年に東大紛争があり、杉本さんは京大生として“仮面浪人”をした後、東大に合格。在学中に司法試験をパスした秀才で、早くから同期入省の丹呉泰健さんと“将来の次官候補”と目されて、2人とも事務次官になりました」

 今や、泣く子も黙る杉本氏。財務省時代はエリートコースの主計畑を歩み、順調にトップに上り詰めたようにも見えるが、

「首相秘書官を務めた森内閣では、“神の国”発言などの影響で野党対応や“お詫び原稿”の下書きに追われ、事務次官になると中川昭一財務相の“酩酊記者会見事件”が起きた。“上司の不祥事”とはいえ、頭ばかり下げているので霞が関では“歴代で最も腰の低い事務次官”と呼ばれた伝説を残しています」(同)

 公取委員長の任期は5年だが、70歳定年なので再任された杉本氏の任期はあと3年。化学メーカーの幹部がこう漏らす。

「杉本さんがいっていることは正しいが、原理原則を通しすぎて息が詰まる。1日も早くお引き取り願いたいのが本音です」

 休日は、エアロビクスとテニスで汗を流すという杉本氏。あと3年は原理原則を貫くだろう。

週刊新潮 2018年2月8日号掲載

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