映画「チャーチル」で脚光! 辻一弘の特殊メイク

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 アカデミー賞候補に日本人? しかも俳優ではない。

「彼のように動き、鏡を覗いた時にそこに彼を見つけることができなければ、この役をできない」(配給元資料)

 3月に封切される映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で主役を担う俳優ゲイリー・オールドマン(59)の言葉である。“彼”とは“チャーチル”のこと。英国きっての名優がこう続ける。

「辻一弘が、私をその境地へと連れて行ってくれる唯一の人物だと思いました」

 辻さんって、誰?

 1969年、京都市生まれの48歳、10代の頃から特殊メイクを独学で学んだが、メイクアップの巨匠ディック・スミスの弟子となり、地歩を固めた。

 さる大手映画会社のプロデューサーの話。

「映画の世界ではつとに高名な特殊メイクの専門家です。黒澤明の『八月の狂詩曲(ラプソディー)』(91年)等の制作に関わり、その後ハリウッドで活躍、辻さんでなければダメという監督や俳優までいる第一人者」

 その辻さん、2012年に映画界を引退し、美術彫刻に専念していたが、オールドマンから“あなたが引き受けてくれたら、私はこの映画に出る”と直接依頼を受ける。

「悩みましたが、ゲイリーにノーとは言えません」(辻氏)

 キューバ産ダブルコロナサイズの葉巻、スコッチとシャンパン、サヴィル・ロウ仕立てのスーツにコート、高くかざしたVサイン、この役で“ゴールデン・グローブ賞”を得たオールドマンは、チャーチルそのものである。最大の貢献者は、辻さんその人である。

週刊新潮 2018年1月25日号掲載

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