海外で「秋田犬」ブーム! 保存会会長は「中国のニセモノ」に激怒

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ニセ秋田犬が横行

 海外で登録された秋田犬は、2010年には73頭だったが、15年には1267頭、16年には3922頭となって、国内の登録数を初めて上回った。

「あくまでも秋田犬保存会が“血統証”を出した数です。欧州の方は特に本物志向が強いんですが、彼らに秋田犬の魅力を聞いてショックだったことがありますよ。特にイタリアは熱心で――あの国だけでも日本の秋田犬より登録数が多いのですが――、あるイタリア人の方は『日本人は流行ばかり追い続けるが、自分の国に、こんなに素晴らしい犬がいるのに、なぜプードルなど人気の犬を飼おうとするのか?』とね。彼らは『秋田犬の凛としたところがいい』と言いますね。著名な審査員の方も『様々な種類の犬が集まるショーでも、他の犬がワンワンキャンキャン騒ぐ中、秋田犬はとにかく美しく、堂々と立っているからすぐにわかる』と」

 誇らしげな会長だが、このところ頭を悩ませているのが“ニセ秋田犬”だ。

「現在、秋田犬保存会は海外に16の支部があるのですが、そのうちの9つは中国にある。いかに中国で秋田犬が人気かという証拠でもあるのですが、人気であるが故に、商売にしようという輩が出てきています。それには秋田犬保存会の発行する“血統証”が必要なのですが、通常、数頭しか子供を産まない秋田犬なのに、『十数頭生まれたので発行してくれ』という申請もある。勝手に“血統証”を偽造するパターンもあります。父・母の名も書かずに発行された“ニセ血統証”付きの秋田犬が、30万円から40万円で売られています。保存会が関与していない犬が圧倒的ですから、どのくらい横行しているのかは分かりません。もちろん、純粋に秋田犬を可愛がってくれている中国人もいますよ。でも、秋田犬を金儲けとして目をつけたのは中国です。私は一昨年に中国で開催された展覧会に出席しましたが、そこでもニセモノ対策の必要性を訴えてきました。血統証発行の審査を厳しくしていますが、今後は中国内の支部を減らすなど、制約を強めていくつもりです」

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