AIが仕事を奪うのは“未来の話”ではない――「パワードスーツ症候群」とは

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あなたの仕事を奪う「AI社会」3つの誤解――鈴木貴博(2)

 オックスフォード大学のオズボーン准教授の予測によれば、今から20年以内に日本人の携わる仕事の49%が人工知能とロボットに置き換わる可能性があるという。そんなAI社会について誤解されがちな、3つのポイントを経営戦略コンサルタントの鈴木貴博氏が解説。氏は、“消滅の危機にあるのはブルーカラーではなくホワイトカラーの仕事”であるという。

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 さてホワイトカラーの仕事がなくなると言っても、それが本格的に問題になるのが20年後であれば「あまり真剣に悩む問題ではない」と考える人は少なくない。ここに2番目の誤解がある。

 仕事が消滅するまでの期間、スマホに搭載された人工知能アプリでわれわれの仕事はとても楽になる。そのことは実は現在進行形でわれわれの仕事を奪いつつある。

 そのことを説明するために私が提唱する「パワードスーツ症候群」という現象がある。AIにサポートされることですべてのビジネスパーソンの生産性が格段と高まる。

 仮にビジネスの現場で知らない言葉が飛び交っていたとしよう。たとえば「プライマリーバランス」がどうのとか「上場廃止基準」がどうだとか議論の中心となる言葉を今日初めて耳にしたとしても、数分間スマホ検索をすれば、あっという間にその議論についていけるようになる。

 スマホさえあれば、駆け出しのビジネスパーソンでもまるでパワードスーツを身に着けたスーパーヒーローのようなパフォーマンスを発揮できる時代なのだ。

 ところがその一方で仕事の目標設定も、人事考課も、どちらもパワーアップした状態を標準点として行われる。だから自分では圧倒的にパフォーマンスが上がったと感じていて、実際に過去の働きとはレベルの違う量の仕事をこなしていても、評価は上がらず年収も増えない。この状況のことを私はスマホ時代がもたらす「パワードスーツ症候群」と呼んでいる。

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