米が北朝鮮と無条件対話? 国務長官“迷走”で幻に

国際週刊新潮 2017年12月28日号掲載

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「北朝鮮が望むならば天気の話をするだけでもいい」

 12月12日、ティラーソン米国務長官の発言は、世界中を驚かせた。

「つまりは、まずは話そうという無条件対話。『最初の会合は』と断ってはいたものの、圧力路線からの転換としか聞こえない。ところが、他のトランプ政権幹部からは路線転換を否定する情報しか出てこなかったのです」(外信部記者)

 更迭がささやかれる国務長官だけに、最後の賭けに出たのか、とも思われた。

「そこで注視されたのが、北朝鮮の慈成男(チャソンナム)国連大使も出席した15日の国連安保理閣僚級会合です」(同)

 ところが、会合での米国務長官の発言は、拍子抜けするほど従来の圧力路線そのもの。「北朝鮮にのみ責任がある」、「いや、自衛措置だ」と慈大使と非難の応酬が繰り広げられた。

 一方、いつも饒舌なトランプ大統領は、ツイッターでもなぜかこの件には沈黙。代わりにアメリカ・ファーストよろしく、同じ15日に法案がまとまった税制改革案が好影響して「ダウもS&Pもナスダックも高値をつけたよ」と自画自賛した。

「慎重に、と政権幹部が大統領の関与を止めた。そもそも12日の長官発言は、発言場所もかなり影響しています」

 と見るのは、国際ジャーナリストの春名幹男氏。

「米大手シンクタンクが開催した政策フォーラムでの講演後、質問に答える形で出て来たもの。司会者はブッシュ政権時代の安保担当補佐官で、じつはティラーソン氏をトランプ政権へ売り込んだ当の人物。いわば非常にリラックスした状態で出てきた発言なのです」

 とはいえ、単なるうっかりでもない。

「米有力政治誌フォーリン・ポリシーも書いていますが、あの発言の本旨は、まさに安保理で披露するつもりだった。偶発的有事を避けるため、最低限の対話の必要性を打ちだそうとしていたのです」(同)

 しかし下手を打った。更迭はますます早まりそうだ。