漫画家・畑中純の作品も並ぶ「エロティックアート」異色展覧会

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「エロティシズムとは、死におけるまで生を称えることだと言える」(ジョルジュ・バタイユ)

 そのバタイユの文芸作品を題材にした谷敦志の作品を含む、ちょっと異色な展覧会が東京・銀座の「ヴァニラ画廊」で開催中である。“エロティックアートのカレイドスコープ”と銘打つ「綺譚標本」(12月28日まで)。

 本展覧会の担当者が語る。

「国内外のアーティストによる“多様化するエロティックアート”に焦点をあて、絵画、版画、写真作品、コミックアートなど多岐にわたる表現から、人間の肉体や性を通じて、私たちは真にいかなるものであるか、観るものに問いかけます」

 展示されている総勢28名のエロティックアートは小宮山逢邦、田亀源五郎など逸品揃い。その中で一際異彩を放つのが、漫画家・畑中純(1950〜2012)の「満月」、「栗」の2作品。

「畑中さんの作品は、明るいラテン系の味があります。他の作家たちの隠微な美の世界とはいささか肌合いが異なるのです。そこが面白いところでしょう」(同)

 北九州は小倉の出身。77年「月夜」でデビューし、79年より10年間、「まんだら屋の良太」(週刊漫画サンデー)を連載。盛名を馳せる。“まんだら”は81年に日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。86年にテレビドラマ化され人気を博した。

「多数の漫画作品で知られていますが、エロティックアートにも傑作を遺されました。版画家としても活躍され、木版画の連作『九鬼谷春秋』は実に味わい深い傑作ですよ」(同)

 こちらは、展覧会と同時に刊行された『偏愛蒐集』(玄光社)に所収。御関心ある向きはぜひ。

週刊新潮 2017年12月21日号掲載

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