稲田朋美・前防衛相が泣き出しちゃった「百人斬り講演会」“実況中継”

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自著で泣きだす

「私もこの12年間、政治家としてやってきたけれど、『何のために永田町にいるのだろう?』『何のために政治家になったんだっけ?』ということを取り戻すことができた、非常にいい機会だったと思います。じゃあ何のために政治家になったかと言いますと、“百人斬り裁判”、これが大きなきっかけだったのであります」

 ようやく、主催者側が頼んだ演題に突入である。 

「裁判は最高裁まで行って敗訴してしまったわけでありますけど、その後に『百人斬り裁判から南京へ』(文春新書)という、この本を書きました。今回、この本を探したんですけど、ないんですね。自分が書いた本なのに、色んな人にあげたりして、どうしてもない。本屋にも売ってないものですから、国会図書館から借りてきて、そして読みました」

 え、読んだの?

「読みながらですね、私ちょっと涙もろいものですから、泣いてしまいました。なんかこう……闘っている時の(すでに涙声)、すごぉく、こう、思い(嗚咽に変わる)、アツい思いがですね、甦って……」

 自分の著書を紹介するのに泣きだす人は珍しい。「ホントに自分で書いたの?」と思うほどだ。だが、南京事件の真実を求めて集まった聴衆は、裁判で闘ったジャンヌダルクに優しい。ヒックヒックして、稲田センセイに温かい拍手を送るのだった。

「私は何回も何回も裁判所で泣き叫んで『同じ日本人が、どうして日本の名誉を守れないんだ』と。なぜ同じ日本人としていわれなき非難、慰安婦問題もそうですよね、20万人の若い女性を強制連行して監禁して性奴隷にして、挙げ句の果てに虐殺したと言われているわけです。そういう状況を同じ日本人としてなぜ放置することができるのか、ということが政治家になる怒りの源泉、その思いでもって永田町に来たわけであります。そのことを自分の本を読んで泣くくらいですから、ちょっとおかしいですね」

 自覚はあるようである。だがどうやら、稲田氏の南京事件、慰安婦問題の矛先は、中韓ではなく国内を向いているようである。ここでようやく“百人斬り裁判”の話に入る。

「私も裁判に参加しました。しかし当時、南京事件についてほとんど知らなかったものですから、新幹線の中で鈴木明さんの『南京大虐殺のまぼろし』(飛鳥新社)っていう本を読みました。それで、向井敏明と野田毅という2人の将校が、どちらが先に百人を斬るか競争をしたという東京日日新聞、今の毎日新聞が報じて、その記事が元で、戦後、南京の軍事法廷にひきずり出され、1人の証人もなく、たった3時間の裁判で銃殺刑に処せられました。鈴木さんはこの裁判に疑問を持ち、色んな証言を集めて虚偽であると本の中で書かれていた……」

 もちろん、読んだ資料がこれ1冊ってことはないと思われる。これをきっかけにして稲田弁護士は、将校の遺族らを原告に、2003年4月、毎日新聞および戦後になってまた記事にした朝日新聞と本多勝一記者、それを本にした出版社(柏書房)を名誉毀損で訴えた というのが“百人斬り裁判”である。

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