菅官房長官が“退位問題”で宮内庁に投げた牽制球

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 静かな環境での議論が望まれていながら、暗闘が繰り広げられている。天皇陛下の生前退位を巡って、菅義偉官房長官(69)が宮内庁を牽制しているのだ。

 政治部デスクの話。

「10月、朝日新聞が“2019年3月末に退位、4月に新元号”と報じたことに菅さんは怒り心頭でした。もともと、官邸の本命は18年末に退位し、19年元日から新元号というもの。今もオフレコで“企業も繁忙期だから、3月は無理だと総理と話していたんだ”と、ちくちくと朝日への嫌味を言っています」

 怒りの矛先は朝日新聞のみならず、宮内庁にも向いている。官邸関係者が言う。

「宮内庁は年末年始の宮中行事の多さを理由に、元日改元に反対していた。生前退位についての情報は官邸内でも数人しか知らないので、官邸から漏れるはずはない。つまり、朝日新聞に3月退位説を流したのは宮内庁に違いない、というのが菅さんの論法なんです」

 退位の日程は12月1日に開かれた皇室会議で検討され、19年4月末退位に決定されたが、

「菅さんは宮内庁からのさらなる情報漏れを警戒していた。そこへきて、皇室会議の開催を記者会見で発表した11月22日は、上機嫌でした。“情報が漏れなくてよかった”と。皇室会議については前日の夕方にNHKが抜いているのですが、“あそこは強いからしょうがない。皇居に7人も張り付いていたからな”とあきらめ顔でした」(先のデスク)

 とはいえ、宮内庁への注視は解かれたわけではない。皇室会議の後、官邸と宮内庁が別々に記者会見を行う予定だったが、記者が両者の関係性から「宮内庁が変なこと言いませんかね」と菅氏に聞くと、

 あそこは俺の傘下だ、言わせない――。

 そう答えたという。

「要は、これ以上のリークは許さないし、勝手なことはさせない、という菅さんの意思表明です」(同)

 そういう物言いが、逆に波風を立たせている。

週刊新潮 2017年12月7日掲載

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