書き入れ時に“54年ぶり大噴火” バリ島の損害

国際

  • ブックマーク

Advertisement

 常夏の島・バリ。年末年始をこのインドネシアのリゾートで過ごす観光客も多く、まさに書き入れ時はこれから。だが、11月21日から同島最高峰のアグン山(3031メートル)が断続的に噴火。27日からはバリの国際空港も閉鎖を余儀なくされた。

「とにかく火山灰が飛行機の大敵。ジェットエンジンが粘着性のある火山灰を大量に吸い込んで詰まってしまい、灰に含まれる固いガラス質はエンジンのブレードを傷めてしまう。とくに旅客機の巡航高度である1万メートル前後まで噴煙が上がってきたらアウトです」(エアライン関係者)

 アイスランドの火山が噴火した2010年には、それが理由で欧州航空路全体が大混乱に陥っている。

「アグン山は今、いわゆる水蒸気噴火によって噴煙が上がっているだけ。しかし、マグマ溜りの位置上昇が観測され、火山活動の本格化はむしろこれから。溶岩流や火砕流で大きな被害を出すマグマ噴火へ移行していくだろうとインドネシアの当局も予測しています」(外信部記者)

 同山は1963年にも大噴火し、その噴煙は高度1万メートル以上に達した。また、当時は1000名を超える死者も出しているだけに、現地では噴火の兆候が観測された今年9月から周辺地域の避難を進め、すでに観光への影響もあった。

「それでも私が10月に取材でバリへ入ったときには、まだ大打撃というほどではありませんでした」

 と、インドネシアを拠点に活動しているジャーナリストの大塚智彦氏は言う。

「避難地域のアグン山麓にもバリ・ヒンドゥー教の総本山であるブサキ寺院などの観光スポットはありますが、一番観光客の多い海岸地域にはとくに影響はありませんでしたからね。しかし、首都ジャカルタの国際空港に匹敵するほど国際便数も就航先都市も多いバリの国際空港が閉鎖されては、観光でもっているバリ島は本当に大変なことになります」

 バリの観光収入は年間6000億円とも。その行く末は、バリ島民が信仰する聖なる山にかかっている。

週刊新潮 2017年12月7日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。