児童ポルノ所持「るろうに剣心」作者 摘発で見えたアウトの線引き

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拡散のリスクなし

 だが、法律のことについては、不勉強だったようだ。

「児童ポルノ法は2014年に改正され、販売や流布の目的ではなく、自己の性的好奇心を満たす目的で所持した場合でも、それだけで処罰対象になったのです」

 と言うのは児童ポルノ問題に詳しい甲南大学法科大学院の園田寿教授。

「DVD購入などのほか、例えば、ネット上の児童ポルノ画像をダウンロードしても、単純所持罪に問われます。ところが、ハードディスクなどに落とさず、ネット上で閲覧しただけなら罪には問われません」

 性的好奇心を満たす点では同じでも、ダウンロードせずに繰り返し見続ければ罪に問われない、というおかしなことに。それでも、“所持”と“観るだけ”では大きな違いがあるという。

「保存となると、それ自体が拡散であるし、またハッキングや窃盗によって、意図せずに広めてしまう危険性があります。ですが、観るだけなら、拡散や残存のリスクはありません。法律上は、罪に問える限界が“所持”ということです」(同)

 ともあれ、和月はいかなる裁きを受けるのか。元司法研修所刑事弁護教官の菊地幸夫弁護士によると、

「初犯で常習的でなければ罰金で済むケースも有り得ますし、たまたま所持していただけなら不起訴の可能性もあります。今回は別の事件の捜査で足が付いたということから、長期的にDVDを購入していたことが、履歴で判明するかもしれません。となると起訴されることになるでしょう」

 その場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金となるが、

「今年9月から18年ぶりに『るろうに―』の続編が月刊誌で始まっていましたが、休載が決まりました。彼の作品は少年向けが多いところへきて、児童ポルノというのは読者層と被る。復帰したとしても起用しづらいのでは」(漫画編集者)

 代償は恐ろしいほど大きかった。

週刊新潮 2017年12月7日号掲載

ワイド特集「『怖い話』展」より

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