両陛下とトランプ会談、美智子皇后が示されていた“陛下を会わせても…”のご懸念

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“陛下をトランプさんに会わせても…” 安倍官邸がフタしたい「美智子皇后」の乱(上)

 美智子さまが穏やかならざるお言葉を発せられたのは、去る9月のこと。2カ月後のトランプ米大統領来日に際し、「陛下を会わせても……」と漏らされていたという。些か旧聞に属するこの話。安倍官邸がフタをしたかった「皇后の乱」が今、蒸し返されたのはなぜか。

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 解散総選挙に安倍晋三首相が打って出たのは、9月28日のことだった。

 その少し前に当たる時期のエピソードについて、さる官邸関係者はこう明かす。

「両陛下は11月6日、来日したトランプ大統領を皇居に招いて会談されましたね。そこに至る流れのなかで、美智子さまは“トランプさんには会いたくない”というようなご懸念を周辺に示されていたと言うのです」

 続いて、永田町関係者に話を振ると、

「大統領の来日日程が本格的に調整されていた9月頭ごろの話なのですが、確かになぜか今になってそういった話が駆け巡っています。何でも美智子さまは “陛下をトランプさんに会わせてもいいものか”と漏らされていたと。安倍官邸としては、こういった情報が出てくること自体、“面白くない”と感じているようです」

 それもそのはず――外国要人が天皇陛下との会見を希望する場合、1カ月前までに手続きを始める「1カ月ルール」も瑕疵なく守ったという思いが官邸側にはある。なのに、この関係者もいぶかる通り、些か旧聞に属する話がどうして蒸し返されているのか。少し複雑になるのでそれは後述するとして、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、

「仮に皇后陛下が“会いたくない”と言っていたのが事実だとして、会いたいも会いたくないも、国の仕事ですからやらなきゃいけないんですね。それはトランプだからどうこうという話ではなくて、相手はアメリカ合衆国の大統領ですから。アメリカは日本にとって唯一の軍事同盟国で、その元首が訪問してるのに、こちらの元首が会わないというシナリオはありません」

 と明言する。陛下の元へ外務省の職員を送って行なう「ご進講」についても、

「特にアメリカ大統領に関してはしょっちゅう説明をしていると思います。そこでトランプについて、両陛下に“会いたくない”と思わせるようなブリーフィングを外務省がしているとは考えられない。外務省に反米派は一人もいません。あの人たちは、第1条:アメリカは絶対に正しい、第2条:それに反する場合は、第1条に準ずる、という発想。これがアメリカでなければ、今回のように何カ国も歴訪するうちの1カ国として来日し、しかも2泊しかしない相手を陛下に会わせる必要はない、という判断もあり得たでしょう。でも相手がアメリカではそういうことには絶対にならない。それくらい軍事同盟というのは重い」

 この証言を踏まえれば、美智子さまの面会忌避という意思、あるいは、会談への逡巡というものは極めて大きな意味を持つ。ご進講の影響ではなく、ご自身や極めて近しい人物の考えが反映されてのことということになるからだ。

 ここでひとまず、時計の針を戻してみると、

「安倍さんが2月にアメリカへ行って以降、その返礼としての『トランプ来日』はベトナムでAPECのある11月だろうというのは見えていたことです」

 と、政治部デスク。

「つまり、その手前で日本にやってくるという算段です。訪日に関して問題だったのは国賓なのか否かということ。国賓扱いとなると宮中晩餐会が催され、両陛下がトランプと席を一緒にし、会話の時間も増える。その中身をトランプ得意のツイッターで披露されるのは嫌だよね、という反応は確かにありました」

 実際、国賓ではなく公式実務訪問賓客という扱いになったことで、これらの心配は杞憂に終わったわけだが、宮内庁の関係者が後を受け、

「『国賓』になるとそれに伴う行事が増え、勢い滞在が長くなってしまう。例えば歓迎の式典で21発の礼砲を鳴らさないといけないとか……。トランプは日本を含めて5カ国を回らなければならず、行事を省く必要があった。それはともかく私も噂を耳にしましたよ。“ウチの幹部がついこの間まで不動産屋をしていたような人物に両陛下を会わせるわけにはいかないと言っている”というものでした」

(下)へつづく

週刊新潮 2017年11月30日号掲載

特集「『陛下をトランプさんに会わせても……』 『安倍官邸』がフタしたい『美智子皇后の乱』」より

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