都立高受験生の「内申点」、“職人タイプ”よりも“ゼネラリスト”が人気のワケ

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求められる人間像の違い

 都教委は「評定や内申点に疑問がある場合、質問をしてもらえば、教師はきちんと理由を説明します」と反論する。だが教師に質問すること自体をリスクと受け取る生徒や親もいて全くおかしくない。元教師が現場の実情を明かす。

「都教委から説明された評定の基準を、しっかりと保護者会に説明する中学校もありますが、ブラックボックス化を守る学校もあるというのがリアルな現状です。とはいえ結局、成績をつけるのは教師の裁量に任されています。不可思議な評価を下す教師がゼロかと言えば、当然ながら、そんなことはありません」

 今の中学生に同情を禁じ得ないが、さる教育関係者も「今の40代、団塊ジュニア世代の頃に比べて、今の中学生は大変ですよ」と頷く。

「あの頃は1学年10クラスとか15クラスでしたから、ペーパーテストでしか評定を出せませんでした。しかも相対評価ですから、成績上位が5、真ん中が3、下位が2か1と、究極的には学年順位と変わらない。実技4科目はサボって受験5教科だけを集中的に勉強して、入試の一発勝負で勝ち抜く、というタイプは、男子生徒を中心に見受けられたものです。でも時代は変わりました。良くも悪くも生徒数が少ないから、教師の目が届く。一芸に秀でた職人タイプより、総合力の高いゼネラリストを、社会も評価します。同じ変化が中学校でも起きているわけです」

 確かに昭和の時代は、魔法のように契約を取ってくるが、事務処理能力はゼロという営業マンも珍しくなかった。だが今のオフィスは、自分も契約を取り、事務処理もスムースにこなし、更に後輩の指導も見て当たり前だ。

 教師に反抗し、授業中も寝てばかりで、なのに公立の名門高に合格する、という中学生は“絶滅危惧種”なのだろう。大人だけでなく子供も生きにくい時代になってきたのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2017年11月27日掲載

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