まるで“異種格闘技” 「熊谷組」「住友林業」資本提携のワケ

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 2018年3月期決算で、上場企業の4社に1社が過去最高益を予想している。なかでも、震災復興や東京五輪関連の事業などで、追い風が吹いているのが建設業界だ。が、順風は長くは続かず、早くも業界再編の動きが加速するという。

「環境の変化に対応するために、必要だと考えた」

 熊谷組の樋口靖社長(65)は9日、記者会見で住友林業との資本提携の目的をそう語った。しかし、業績好調な準大手ゼネコンが、それほど関係が深いとは思えない異業種と“タッグ”を組むのはなぜか。全国紙の経済部デスクによれば、

「住友林業は、国土の900分の1にあたる山林を所有する木材業界の最大手。その一方で木造住宅の建設やリフォーム事業にも力を注ぎ、7年前には売上高で木材事業を抜いています。ハウスメーカーでもあるので、熊谷組との提携はそれほどおかしな組み合わせではありませんが……」

 昨年度、売上高約3447億円だった熊谷組は海外事業を得意とし、高さ508メートルで、04年当時は世界第1位だった「台北101ビル」を竣工した実績を持つ。一方、売上高1兆1133億円の住友林業も木材、住宅事業を海外で積極的に展開している。今後、さらなる海外事業の強化を考えれば、両者の協業はプラスに働くのではないか。

「株式市場は、この資本提携を評価していません」

 こう語るのは、建設業界に詳しいアナリストだ。

「資本提携発表後、熊谷組の株価は急落し、13日の終値は3050円で発表前より560円も値を落としている。また、住友林業の株価は83円安の1841円で取引を終えています」

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