根強い人気「サウナ」の効能とリスク “我慢比べ”“年寄りの冷や水”は事故のもと

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「若嶋津」を危険に晒した「サウナ健康法」の正しい活用術(下)

 身体によかれと施していた健康法が、かえって仇となってしまった。元大関・若嶋津の二所ノ関親方(60)が救急搬送されたのは10月19日。一命を取り留めたものの、事態はなお予断を許さない。根強い人気ながら危険を孕む「サウナ」の正しい活用術をお伝えする。

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“効能とリスク”は表裏一体。総合内科専門医の秋津壽男氏は、こう言う。

「温熱効果で血液の循環を促し、汗をかいてデトックス効果もあります。ただ、サウナは無理して頑張りすぎるのがいけません。体重を減らそうと必死で汗を絞り出しますが、サウナで減った体重というのはすべて水分で、決して脂肪が燃えているわけではない。水を飲めば元通りになってしまうのです」

 また、こんな“悪習”も事故のもとだという。

「先に年長者が入っていると、後から入った若い人が何となく先に出づらくなって“我慢大会”になってしまうのもよくありません。暑さで交感神経が亢進し、血管にとてつもないプレッシャーとなって心臓に負担がかかる。だからサウナの後の心筋梗塞が多いのです。つらい我慢比べを終えて『せっかく体重が減ったから』と水も飲まずにいると、帰り道に脱水症状で倒れるおそれだってあります」

 その上で、以下のような利用法を提唱する。

「サウナには砂時計がありますね。大体3分か5分計ですが、せいぜいその時間内、基本的には1回につき3分を目安にしてください。ドライサウナと湿度100%のウェットサウナを比べると、汗をかいた時にドライだと乾燥、蒸発することで体を冷やせます。ところがウェットだと汗をいくらかいても乾かないので、体温が下がらないまま次の汗をどんどんかく。この状態は熱中症に近いため、望ましくありません」

 リスク要因となる水風呂も、

「若くて体力のある人なら交感神経の活性化には効果的ですが、まさしく年寄りの冷や水で、60歳を超えたら水風呂はやめるべきです。代わりに水を汲み、手足など心臓から離れた箇所にかけ、胴体は避けましょう。その後は普通の湯船に入って休憩し、また3分間サウナという繰り返しがよいと思います。冷水で顔を洗ったり、サウナに冷たいタオルを持ち込んで顔を冷やすのは構いません。1000㏄汗をかいて1キロ体重が減ったと喜ぶのではなく、汗の量だけ水を飲み、1000㏄の中の老廃物を排出できたことを喜びましょう。それがサウナの効果です」

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