根強い人気「サウナ」の効能とリスク “我慢比べ”“年寄りの冷や水”は事故のもと

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医療での「適温」は60℃

 加えて、体を温めることで免疫力の活性化が見込める点も重要だという。

「北欧に比べて日本のサウナは高温のものが多いのですが、本来身体によいのは低温サウナ。60℃くらいだと体内の免疫システムが活性化され、さまざまな効果があることが分かっています」

 実際に医療現場でも活用されていて、例えば89年に開発された「和温療法」という心疾患の治療法がある。当時、鹿児島大教授でこれを編み出した「和温療法研究所」の鄭忠和所長が言う。

「読んで字のごとく『和む温度』での療法です。室内全体が60℃に保たれた遠赤外線サウナの医療器に15分間入り、その後は毛布などで体を包み30分間安静にします。これで気持ち良く汗が出て一酸化窒素が発現し、全身の血流を促進するのです。そして最後に、同じ量の水を補給する。元々は心不全の患者さんのための療法で、日本循環器学会の慢性心不全治療ガイドラインで推奨されており、難治性の下肢虚血にも有効です」

 この療法は現在、全国およそ80カ所の医療機関で導入されている。副作用はなく、これまでの患者数はのべ10万人にのぼるというのだ。続けて、

「サウナは上手に使えばとても効果があり、安全なものなのです」

 鄭所長はそう説く。では最後に、サウナ愛好家が愛してやまない“たしなみ”についてもひとくさり。公益社団法人日本サウナ・スパ協会に尋ねると、

「飲酒してからの入浴は危険なのでお止め下さいと、いつもお伝えしています。それからサウナを出た後のお酒も、本当は水を一杯飲んでからにして頂きたいのですが、それではビールが美味しくなくなってしまうでしょうから……」(事務局)

 苦渋のコメントを寄せるのだが、鄭所長は、

「アルコールには利尿・脱水作用があります。発汗して失われた分を水の代わりに補給しようとしても、水分とはなり得ず、結果的にいっそう脱水を促進してしまうのです」

 飲み過ぎた翌朝に襲いかかる数多の体調不良は、これが原因であったわけだ。

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