雷門にスタバ!? 「浅草寺」家賃16倍要求で「仲見世商店街」存亡の機

国内 社会 週刊新潮 2017年11月2日号掲載

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 激増する外国人観光客が、首都東京で真っ先に訪れたい場所として一、二を争うのが浅草、とりわけ仲見世商店街だという。そんな人気スポットが存亡の機にあるというのだから、穏やかではない。

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 雷門から浅草寺まで250メートル、89店が軒を連ねる仲見世通りは、1700年前後から続く日本最古の商店街の一つだ。ところが、

「ほとんどの店は立ち退かざるをえないでしょう。浅草寺は我々を殺す気なのか、と感じざるをえません」

 と、通りに店を構える店主の一人は嘆く。何が起きようとしているのか。

「9月ごろ、仲見世通りの各店に2枚の紙が配られて、そこには、来年1月からの家賃が、いきなり16倍になると書かれていました。私の店は戦後ずっとここで商いをしてきましたが、今の16倍の家賃なんて、とても払えない。ほとんどの店が払えないと思います」

 たしかに無体な要求だが、なにゆえだろうか。

「仲見世通りの土地は浅草寺の所有ですが、上物は東京都のものだった。だから我々は家賃を東京都に払ってきましたが、7月に浅草寺が上物を都から買い取った。で、安かった家賃を周辺並みにするというのです。仲見世商店街振興組合が話し合っていますが、浅草寺の守山雄順執事長は“仲見世は浅草寺があるからこそ潤っている”と主張する。でも、このユニークな参道があるから、年間4000万人もの観光客が訪れるんじゃないでしょうか」

 89店の家賃の平均は月2万3000円と、たしかに破格だ。その由来を東京都財務局に尋ねると、

「仲見世通りの土地は1911年から浅草寺が所有し、一方、建物は関東大震災で壊れて東京府が修繕し、戦災後も柱や梁は残ったので商店主らが直し、都が所有してきた。以来、浅草寺が土地を都に無償で貸し、都が場所を店主に貸してきた。それが7月1日、浅草寺との間で約2000万円で売買契約が結ばれたのです」

訴訟が日本一?

 とまれ16倍。「周囲の家賃に合わせるのは違法ではない」と弁護士は言うが、2万3000円が16倍の約37万円になれば、さすがに経営できないだろう。

 仲見世を歩く、ベルギーから来たという男性は、

「浅草に来るのを楽しみにしていて、賑わっていて楽しいけど、やっぱりビジネスなんですね。家賃が高騰して出て行かなければいけないなんて。ベルギーにもそうやってゴーストタウンになった街があります」

 ほかの人も同様に「みな仲見世の賑わいと温かみに期待して訪れるのに」という返答ばかり。浅草寺の守山執事長はなんと語るか。

「以前から都に建物を“早く返してください”という覚書を送っていました。2011年、 都から突然、仲見世通りについて、収益事業を行っているのだから固定資産税を払え、と言ってきた。以来、お寺と都と仲見世通りの三者協議を重ね、建物をお寺が買い取ることになった。同時に家賃も見直そうと相場を調べ、弁護士が9月半ば、数字を組合にお伝えしたのですが、 高すぎるというので、考えましょうと言っています」

 では、この“騒動”、丸く収まるのか。だが、周辺の元店主が言う。

「うちも浅草寺が大家でしたが、ある日、賃料を上げたい、次の店子は月100万でも200万でも出すと告げられ、これだけ多くの店が出店したがっているんだと、厚さ20センチくらいの書類を見せられました。撤退するしかなかった。本当かわかりませんが、そのとき弁護士が、浅草寺は賃貸関係の訴訟が日本一多い寺だ、と言っていました」

 スタバのような大資本しか出店できなくなれば、仲見世の価値はもうあるまい。

ワイド特集「ちはやぶる 神代もきかず」より