「アメフト界」に喧嘩を売ったトランプ 支持率への影響なし?

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 アメフトのNFLは、米4大スポーツの筆頭格。MLB、NBA、NHLに比べても観客動員数は断トツだ。

 そのNFLの選手たちが、グラウンドにずらりと並んで片膝をつき、試合前の国歌斉唱を拒否。人種差別に抗議する事態が続いている。

「あの膝をつくポーズは、49ers(フォーティナイナーズ)の中心選手だったコリン・キャパニックが始めました。白人警官による黒人への一方的な暴行事件が相次いで問題になった昨年、こんな国に敬意は払えないと“膝つき”で斉唱拒否を体現したのです」(スポーツ紙記者)

 だが当時、彼に追従する動きはさほどなく、キャパニックは政治色を嫌われ、翌年契約するチームは無かった。

「ところが、トランプ大統領がアラバマ州の政治集会で『国歌斉唱中に抗議する奴はオーナーが首にしろ』と発言。9月22日のことでしたが、翌々日は試合が集中する日曜日。レギュラーシーズンも始まったばかりで、もともとNFLには黒人選手も多い中、あの発言が“仲間を守れ”と団結心に火をつけた」(同)

 大統領も以後はトーンダウンだが、米主流メディアが伝えるほどには、世論も「抗議支持」一色ではない。

「人種も文化も多様なだけに、米国では国旗、国歌の意味が非常に大きい。膝をつく選手へのブーイングもじつはかなりあります」

 と言うのは、在米ジャーナリストの古森義久氏。

「ある試合では、アフガンで従軍経験のある選手が一人だけグラウンドへの入り口で起立して国歌斉唱しています。やはり軍にいると国歌への想いもさらに違うのでしょう。彼を賞賛する声もかなりありますよ」

 実際、CNNなどの世論調査では、選手たちの抗議行動に「反対」の割合が過半数を占める。もとから低い大統領支持率にはどのみち影響はない……?

2017年10月12日神無月増大号掲載

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