YouTubeで「国父」を批判… シンガポールの18歳が米国亡命

国際週刊新潮 2017年10月12日神無月増大号掲載

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 都市国家・シンガポール。世界的金融センターで教育水準も高い。東京23区ほどの面積に約560万人が住む経済的には豊かな国だ。

 だが、この国の青年、アモス・イー(18)は、9月26日に“政治亡命”が米国で認められた。

「まだ10代なのに、国父とされる初代首相のリー・クアンユーをユーチューブで何度も手酷く批判。2回も投獄されているのです」

 と話すのは、大手紙のある外信部デスク。

 政権を握る人民行動党の事実上の独裁が長く、表現の自由を極度に抑圧。それが彼の国の裏面にある事実だ。

 だが、父はコンピュータ技術者、母は教師の一般家庭に育ち、13歳で当地の有名なフィルムコンテストで最優秀賞を受賞したアモスくんの反逆精神は旺盛。

「最初の拘留はまだ16歳だった2015年5月のこと。同3月に亡くなったリー初代首相の政治がいかに暗く恣意的で、『恐ろしい人間だった』かを自室で熱弁。軽やかな身振りも交えて映像化し、没後4日目にそれをアップしたのです」(同)

 逮捕名目は、猥褻画像の掲載や宗教への侮辱。たしかにその要素もあったが、当時も今も首相のリー・シェンロン氏は初代首相の長男。明らかに当局の意はリー家批判封じにあった。

「日本ではほとんど報じられない事件でしたが、結局53日間も拘留。ベッドに縛り付けられて精神鑑定までされています」(同)

 しかし、それでも彼はめげない。その後も動画投稿を続けたが、16年9月に再び6週間拘留されて――。

 そして、同年末に単身シカゴへ行き亡命申請。「帰国すれば迫害に遭う危険がある」と認定され、このたび晴れて移民施設から出て自由の身になった。

 地元紙などによれば、

「シンガポール批判の映像も増やすつもりだけど、ここにいるんだから、米国政治にも仕事を広げようか」

 と、この反逆児はますます意気軒昂。一方で彼の両親は母国で沈黙を守っているそうだ。