「東のドン」急死、「任侠山口組」組員射殺… 暴力団のよろめく明日

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火種は「盃事」

 今回の事件に対する「返し」、すなわち報復を行うのかどうか、先の任侠山口組幹部に聞くと、

「ウチは一切、手ぇ出さへんと思う」

 だが、任侠山口組が動かずとも、井上組長の「首」を虎視眈々と狙う組織がある。警察だ。

「今回の事件は、トップの井上組長までいける可能性がある、ということで兵庫県警は意気込んでいる」(全国紙社会部デスク)

 もう1つ、警察当局を含む関係者が固唾をのんで推移を見守っている案件がある。それは、六代目山口組に次ぐ規模を誇る指定暴力団「住吉会」の動向だ。神戸で射殺事件が起こったのと同じ日の未明、住吉会の西口茂男総裁(88)が病死したのだが、

「四十九日が終わった後、つまり10月末以降に何らかの動きがあるかもしれません」(住吉会関係者)

 西口総裁は1991年、それまで「住吉連合会」だった組織名を住吉会に改称して自ら会長に就任した。先のジャーナリストによると、

「それまでの住吉会は組織名を見ても分かる通り、“連合体”だった。そこに親子盃を持ち込み、“連合体”ではない一枚岩の組織に仕上げたのが西口総裁です」

 そして、今後の火種となる可能性があるのがまさにその「盃事」で、

「西口総裁は住吉会の数十名の幹部と親子盃を交わしており、住吉会の関功会長もその1人。今回、西口総裁が亡くなったことで住吉会のトップに立つことになった関会長が、西口総裁と親子盃を交わしていた幹部たちとの盃直しにこだわった場合、拒否する者が出てくる可能性がある。その場合、最悪のケースでは住吉会が分裂することもあり得る」(先の住吉会関係者)

 そんな中、動向が特に注目されているのが、住吉会総本部長で幸平一家の加藤英幸総長である。

「加藤さんは西口総裁と親子盃を交わしている大実力者で、住吉会を出て行くようなことになれば大きな騒動になる。加藤さんは神戸山口組に近いということもあり、山口組の三つ巴の戦いに影響が及ぶ可能性もある」(先のジャーナリスト)

 よろめき、足掻き、流動化する暴力団。我々が目撃しているのは、「終わりの始まり」なのだろうか。

週刊新潮 2017年9月28日号掲載

特集「『東のドン』急死! 『任俠山口組』組員射殺! 暴力団 よろめく明日」より

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