仏で調教師になった35歳日本人 「夢は凱旋門賞」

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 フランスでも、秋といえば競馬。わけても10月1日開催の凱旋門賞は最高峰のレース。今季はサトノダイヤモンドの参戦で、日本からも注目が集まる。

 そして、その凱旋門賞を「いつかは自分の育てた馬で獲りたい」と意欲に燃えている日本人がパリにいる。今年7月に仏の調教師試験に合格し、この9月に厩舎を開いたばかりの清水裕夫調教師(35)だ。

 調教師試験の受験者は実務経験者ばかりだが、それでも約半数が落ちる難関。ところが清水氏、馬学や関連法規などを問う1次の学科試験は満点で通過した。「本気出しました」と本人は朗らかに話すが、同試験の満点は史上2人目。じつは清水氏、あの名門・開成学園の出身者なのだ。

 競馬に出会ったのも開成時代。「上には上がいて……」と勉学に興味を無くしていたところ、同級生がやっていた競馬に魅かれた。

 と言っても、賭けずにひたすら馬を見るだけ。

「当時は、競馬専門チャンネルの『今日の調教』などを毎日のように見て、自分なりに馬の状態を予想。それを毎週末のレースで答え合わせする感じでしたね」

 その頃からデータより五感を大切にする感覚派で、欧州競馬界にあこがれを持つ。そして、日本獣医畜産大を卒業後、社台ファームを経て、豪、英、仏の厩舎で修業。2013年からは仏シャペ厩舎の副厩舎長となる。20頭前後だった小厩舎は、清水氏の尽力もあって今では100頭の大厩舎に。今年の1000ギニー賞(GI)も獲得した。

 晴れて独立。だが、凱旋門賞への道のりは遠い。

「年内に、まずは馬を5頭は預かりたいと、今はスポンサー探しの真最中です」

 先日は、営業を兼ねて挨拶回りのため一時帰国。

 彼の地では、日本の約半分の費用で馬主になれるそうで「海外に馬を持っているステータスも味わえますよ」。

週刊新潮 2017年9月28日号掲載

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