「赤ちゃんパンダのレンタル料は7000万円」はフェイクニュース 上野動物園も困惑

国内2017年9月12日掲載

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 上野動物園で6月に赤ちゃんパンダが誕生し、9月12日で生後3カ月を迎えた。ブームは今も過熱する一方で、最初の山場は名前が決まる9月末だという。ネット上でも様々な言説が飛び交っているが、その中にはフェイクニュースも含まれていることをご存じだろうか。

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 グーグルで「上野 パンダ 赤ちゃん」と検索すると、「パンダの赤ちゃん60日齢 パンダ力(りょく)もついてきた 上野動物園 8月11日」「上野動物園の赤ちゃんパンダ 四肢で立ち上がるまであと少し」「両目ぱっちり、寝返りも 上野の赤ちゃんパンダ 動物園が動画公開」といった動画やサイトがヒットする。いずれも赤ちゃんパンダの誕生と成長を喜ぶものだ。

 ところが、これを「上野 パンダ レンタル料」とすると、結果は一変する。「パンダのレンタル料は日本で生まれた赤ちゃんにも必要?金額は?」「たけし『税金使って中国からパンダをレンタルするな!』 - 東スポWeb」「米の倍 パンダにレンタル料8000万円中国に支払う日本人って相当バカ」と批判的なトーンが目立つ。

 少なくともネット上では、反パンダ派が拠り所としているのが、「レンタル料」のようだ。そして頻繁に言及されているのが、

①上野動物園にいるリーリーとシンシンの所有権は中国にあり、日本は毎年レンタル料として年間に約1億円を支払っている。

②赤ちゃんパンダは2年後をめどに中国へ返還される。

③赤ちゃんパンダのレンタル料は年間、約7000万円。

 の3点だ。この真偽を確かめるべく、上野動物園に取材を依頼した。対応してくれたのは教育普及係。①から順に質問させてもらった。

フェイクニュースに困惑する上野動物園

――リーリーとシンシンのレンタル料は年1億円というのは本当ですか?

上野動物園教育普及係(以下、普及係) レンタル料という言葉を、私どもは使っていません。中国野生動物保護協会に対し、保護活動費を支払っているというのが正確な事実関係です。更に円建てではなくドル建てで、年に約95万ドルです。

――レンタル料はマスコミ用語。1ドル100円なら約9500万、80円なら約7600万円ということですね。では、今の赤ちゃんは2年後、中国に帰るんですか?

普及係 2年が経った頃に、繁殖期を迎えます。正確に2年というわけではありませんが、繁殖のため上野動物園を離れることは確実で、行き先は中国の可能性が極めて高いです。

――ネット上では、ずっと上野動物園にいてほしいという意見も多いようです。赤ちゃんはメスですから、お婿さんをもらうことはできないのですか? それこそレンタル料がネックになるのですか?

普及係 予算の問題より、今の動物園には2組のパンダを飼育できるスペースがないということの方が大きいですね。物理的に不可能です。またパンダのペアリングは極めて難しく、単にオスとメスを会わせただけでは失敗する可能性が極めて高いと言われています。何頭も飼育している環境で、オスとメスの相性を見ながら、カップルを作っていく必要がある。となると、中国でしかできないということになります。

――赤ちゃんが生まれると、追加の保護活動費、レンタル料は発生するんですか?

普及係 いいえ、発生しません。

――ネット上では、7000万円という具体的な金額まで出ています。

普及係 マスコミの方だけでなく、一般の方からも「追加のレンタル料が発生するんですよね?」との問い合わせを頂きます。ですが、そのような事実はありません。赤ちゃんパンダが何頭生まれても、保護活動費は年に約95万ドルのままです。増えることも、減ることもありません。

――上野動物園に質問する内容ではないですが、どうしてこんなデマ、フェイクニュースが出回っているのでしょうか?

普及係 間違った情報が流布していることは、私どもも困惑しています。もちろん思い当たる原因などありませんが、ネット社会なので、誰かが勘違いして書いたことが、あっという間に広まってしまうということはあるのでしょう。

 ということで、3点中、1点がフェイクニュースだと判明した。

週刊新潮WEB取材班