地元民は逃さぬ美味、ヒラツメガニとウチダザリガニを「捕まえて、食べる」!

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エビ+カニ=ザリガニ

 日本各地で見つかりニュースにもなっている「ウチダザリガニ」も、捕まえて食べたいターゲットのひとつ。北米大陸原産の外来種で、子供の頃に誰もが一度は捕まえたことのあるアメリカザリガニよりも大型に成長し、その姿は大きなアメリカザリガニというよりは小さなオマール海老のような印象を受けるヴィジュアルだ。

 1926年に北海道の摩周湖へ食用目的として移入されたのを皮切りに、全国の水産試験場へと配布された過去があり、現在では福島県、長野県、滋賀県などで自然増殖している。低水温を好む種なのだが、千葉県の平野部でもすでにその姿が確認されているため、今後は更に生息範囲を広げていく可能性が高い。食欲旺盛で雑食性のため、食害によって生態系を狂わす危険性があり、外来生物法に基づき特定外来生物に指定されている。

 ウチダザリガニの捕まえ方はアメリカザリガニと同じなので簡単だ。浅い川で見える場所にいるなら網で掬えばいいし、水深のある場所であってもスルメなどで釣ることができる。生息する場所さえ見つけることができれば、バケツ一杯に捕まえることもできるだろう。

 私が過去に捕まえた実績があるのは福島県の小野川湖周辺で、湖につながる小さな川が探しやすい。

 本人が希望したわけでもなく、強制的に日本へと連れてこられたウチダザリガニに罪はないが、増えることで生態系に影響が出てしまっているので、遠慮をせずにたくさん食べさせていただこう。

 食べ方はたっぷりのお湯で塩茹でにして、背ワタをとりながら食べるのが一番簡単だ。元々は人間の食用として移入されただけあって(アメリカザリガニはウシガエルのエサ用として移入されたといわれている)、その身はすこぶるうまいし、大型なら食べごたえも十分だ。上質なエビの風味とカニのようなきめ細かい食感を併せ持ち、私が今までに食べたどの甲殻類よりも繊細な味であり、旨味が口の中で余韻を残す。大きな爪の中にも身が詰まっているので、ここも残さずにいただこう。

 ただ注意すべき点としては、たとえ食用目的でも生きた状態での移動が禁じられているため、捕まえた場所で調理をするか、下処理を済ませる必要がある。できればきれいな水で数日キープして泥抜きをしたいところだが、現状では法律違反となってしまうのだ。

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(4)へつづく

玉置標本(たまおき・ひょうほん)
1976年埼玉県生まれ。東京のウェブ制作会社に勤めた後、フリーライターに転身。趣味は食物採取全般で、週に1度はなにか天然物を捕って食べている。

週刊新潮 2017年8月17・24日夏季特大号掲載

特別読物「山には『タマゴタケ』海には『ミズクラゲ』 川や湖も野生食物の宝庫! 夏休みの課題は『捕まえて、食べる』!」より

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