「タカタ」上場廃止 息子と骨肉の争いでも“女帝”は優美な老後

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 エアバッグメーカー「タカタ」の株式は、7月27日に紙屑になった。株式の過半数を押さえていた“高田一族”を牛耳っていたのは、会長兼社長の高田重久氏ではなく、特別顧問を務めている実母の暁子氏(77)。息子をかばっているとばかり思われた“女帝”は、破綻前に骨肉の争いを演じて大豪邸から飛び出していた。

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 今年2月初旬、東京・品川区内にあるタカタ本社から車で10分ほど離れたマンションの一室。上品な老女を囲んで、顔を揃えていたのはタカタの幹部10人。だが、その場には海外のメーカーとの提携により自主再建を目指す重久氏の姿は見当たらなかった。

「自主再建は、諦めざるを得ないわね」

 こう呟いた暁子氏が続けて、

「もう息子に経営を任せておけない。これ以上、傷口が拡がれば、さらに自動車メーカーや下請け、銀行に迷惑をかけてしまう。会社を法的に整理するしか道は残されていないでしょう」

 3月23日に開かれた取締役会で、重久氏の解任動議が提出される予定だったが、この解任劇は幻に終わってしまう。不穏な動きを察知した重久氏が、取締役会で“自主再建”の大演説をぶって、動議を提出させなかったからだ。その後、重久氏は“黒幕”が暁子氏だと知り、2人は大激論。結果、彼女は“もう知らないわ。あなたの好きなようにしなさい”と捨て台詞を残して、息子一家と同居していた“5億円の大豪邸”から飛び出したのだという。

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