風吹ジュン、夫の愛人を拉致!? 壮絶だった離婚現場

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 NHK朝ドラ「あさが来た」でヒロインの姑役を好演し、独特の存在感を放つ実力派女優として、堂々たる評価を得ている風吹ジュン。今や映画やテレビ、CMと多方面で活躍中だ。しかし彼女には未だ、元夫で音楽プロデューサーの川添象郎(しょうろう)氏の名がつきまとう。それも「とんでも離婚」などというフレーズとともに。

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 二人の結婚は昭和56年(1981)、風吹が29歳、川添氏が40歳の時だった。

 風吹ジュンのデビューは48年、初代ユニチカマスコットガールに選ばれ、爆発的人気のグラビアアイドルに。だが、事務所移籍問題に巻き込まれ、自身が暴力団に誘拐されるという大騒動に発展する。もっとも、これをきっかけにアイドルから脱皮、女優としての道を歩み出し成功を収めた。

 一方の川添氏はまず、「血統の凄さ」で注目される人物だ。関係者が語る。

「曾祖父は明治の元勲・後藤象二郎、両親は35年、麻布に開店したイタリアンレストラン『キャンティ』のオーナーです。当時、『キャンティ族』という言葉が生まれたほど、文化人・芸能人の溜まり場となった伝説のレストランですよ」

 川添氏自身、ニューヨーク帰りという恵まれた経歴を生かし、44年にミュージカル「ヘアー」をプロデュースして大ヒット、ユーミン、YMO、サーカス、ハイ・ファイ・セットなど一世を風靡したアーティストを世に送り出し、バブル期には時代の寵児となった。

 もっとも、風吹にとって、川添氏との生活は平穏なものではなかったに違いない。1男1女をもうけるものの、夫の女遊びと放蕩生活に振り回される日々。それでも、彼女は自分が両親の離婚で辛酸を嘗めたという生い立ちから、必死に耐えていた。風吹は当時のことを、メディアのインタビューでこう話している。

「何があっても添い遂げるのが夫婦だと思っていました。親として、子どもに責任があるのだから。私と同じ思いを子どもにはさせたくない。抵抗してもしょうがないから、結婚生活は就職なんだと自分に言い聞かせました」

 その固い決意を根底から揺るがしたのが、バブル時代の東京を奔放に生きた“美貌の小悪魔”アッコだった。林真理子の小説『アッコちゃんの時代』のモデルになった女性だ。結婚10年目、夫にできた若い愛人だった。

 そもそもアッコ(当時23歳)が業界で有名になったのは、“地上げの帝王”早坂太吉の愛人だったからだ。早坂率いる「最上恒産」の61年の申告所得は西新宿の地上げで186億円超。億万長者となった五十絡みの早坂は、愛人の銀座ママの娘が、アッコの大学の先輩だった関係で彼女と知り合う。彼が、当時19歳の女子大生で、モデル並の容姿を誇るアッコに心底、溺れるようになるのにさほど時間は要さなかった。どこに行くにも彼女を同伴、同棲も始めた。

 バブル崩壊とともに早坂はあっけなく絶頂から転げ落ちたが、世間はアッコの名を忘れなかった。次に彼女の虜となったのが、あの川添氏だったからだ。彼とのいきさつをアッコの友人は当時、こう聞いた。

「『キャンティ』でナンパされたそうです。それから連日の電話攻勢。とにかく、まず朝ご飯を食べようって誘ってくる。次は昼も食べよう、夜もと……。川添さんは口説きのプロだと、アッコは言っていました。毎日、朝昼晩と自分にへばりついて、他の男と会う時間を与えちゃいけないとばかりに」

夫の愛人を拉致!

 川添氏のアプローチや“貢ぐ君”ぶりは、ゴージャスさにかけても規格外だった。

 アッコが川添氏と付き合う決め手となったのが、ヨーロッパ旅行のプレゼントだった。JALのファーストクラスで現地へ飛び、ニナ・リッチから借りたプライベートジェットでロンドンからベニス、そしてパリへ。三ツ星ホテルのスイートに泊まり、豪華な料理を食べる。まるでどこかの前知事のようだが……。さらにはシャネルやヴェルサーチなどのブランドショップで次から次へと洋服や靴のプレゼント。関係者は言う。

「アッコ、“夢のようだった”って言ってましたよ。“この服、着てごらん”と言われて、“似合う、似合う”と、ばんばん買ってくれたそうです」

 川添氏はほどなく自宅を出て、アッコとホテルオークラで暮らし始める。付き合い始めて1年が経った頃、アッコは川添氏から「妻がすごいことを始めた」と聞かされた。友人が続ける。

「川添さんが車で自宅に帰ったら、蝶のように何かが舞っている。それが全部、自分のネクタイだったって。家の中から駐車場に放り投げていたんです。寝室のベッドカバーをめくったら、アッコの写真が100枚くらいコピーされてベッドに敷き詰められていたと」

 そんなある日、キャンティで川添氏を待っていたアッコの前に風吹が現れた。事後、友人に会ったアッコは開口一番、こう話した。

「あたし、拉致られた」

 友人曰く、

「テレビで見るのと同じ、タヌキ顔の女優がいきなり目の前に現れて、有無を言わせず、喫茶店に連れて行かれたそうです。そしていきなり、“あなた、おいくつ? 本気で、川添のこと、思っているの?”って切り出された。アッコは、“そんなにとんがらなければ、ちゃんと家に帰しますから”と答えたそうです。これに風吹さんは“あなたのせいで、うちの家庭はもう崩壊してるのよ”と言い放った。するとアッコはこう答えたって。“大丈夫ですよ、奥さま、自信持って”。火に油ですよ」

 アッコは妊娠し、川添氏を「帰す」どころではなくなる。風吹は離婚を決意した。

 離婚騒動の最中、風吹は出演映画「無能の人」で高い評価を受け、映画各賞を受賞、女優として今へつながる不動の地位を確立した。

 一方、アッコは川添氏の3番目の妻となり男児を出産した。しかしこちらも川添氏の浮気で2年後には別居。平成19年(2007)に離婚している。市井の人と新たな生活を始め、息子を育て上げた今、都内で静かに暮らしているという。

週刊新潮 2016年8月23日号別冊「輝ける20世紀」探訪掲載

ワイド特集「芸能史に刻まれた『衝撃ニュース』の主役」より

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