高血圧の最新常識 「降圧剤」との賢い付き合い方、「天然塩」ならOK?

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薬もさまざま

 第一薬科大学の松山賢治教授も、

「高血圧の影響が一番恐ろしいのは、糖尿病と腎疾患。放置すると脳梗塞に直結しかねないので、これらの患者さんは次善策として降圧剤を積極的に使い、130―80の正常値にコントロールしなければなりません。ですが、こうした持病のない方は、薬を飲む前にまず生活習慣を見直すべきです。高齢者は一般に、悪玉コレステロールが原因でアテロームという脂肪や細胞の死骸からなる蓄積物などで血管壁が狭くなっている。無理に血圧を下げると虚血状態を招き、脳や腎臓などに血液が届かなくなる危険もあり、かえって有害です」

 それでも、仮に投薬となった場合、どんな薬がいかなる作用をもたらすのだろうか。

「最もポピュラーで強く効くのが『カルシウム拮抗剤』。細胞の表面にあるカルシウムチャネル(透過する穴)を塞ぐことで血管を拡張させ、血圧を下げます。これまで副作用として動悸がみられたのですが、最近はそれも改良されています」(同)

 この薬は一般に、薬剤の分解を遅らせるグレープフルーツとの食べ合わせ厳禁として知られている。続いて、

「血圧を上昇させる物質の働きを妨げる『ARB』や『ACE阻害剤』は比較的マイルドに効き、心肥大を抑える効果もあります。ただし後者は、副作用として咳が出ることがある。それからナトリウムの排出を促す『利尿薬』。海外では最もメジャーですが、一部に副作用で低カリウム血症を引き起こすタイプがあります。通常、血糖値が上がるとすい臓のランゲルハンス島にあるカリウムチャネルが閉じるのですが、これが閉じずにインスリンが出なくなる。このタイプは糖尿病の人には使えません」(同)

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