安倍総理と加計理事長の“奢り奢られ”は贈収賄?

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職務権限

 しばらく、籠池前理事長はシャバとオサラバすることになったわけだが、もう一方の加計理事長はこのままセーフなのか。

 これまでに、愛媛県今治市で進めている獣医学部の新設工事の見積りを水増しし、県や市からの補助金をより多く騙し取ろうとしたのではないかと地元オンブズマンから指摘されているが、新たに別の疑惑も持ち上がったのである。

 政治部デスクが解説する。

「7月24日の閉会中審査で、民進党の大串博志代議士が“加計学園の獣医学部申請をいつ知ったのか”と、安倍総理に質問すると、“事業者として正式決定した1月20日”と答えました。でも、その日付は過去の答弁と食い違っています。6月5日の参院決算委員会では、民進党の平山佐知子議員の質問に、“国家戦略特区にその申請を今治市とともに出された段階”、つまりは2015年の6月だと答えていたのです」

 続けて、大串代議士は、国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設が認められるかどうかのヤマ場を迎えた昨夏以降、加計理事長との食事代はどちらが支払ったのかと問い質した。それに対し、安倍総理は“私がごちそうすることもありますし、先方が持つこともございます”と言い切った。

 その結果、関係業者からの供応接待を禁じた大臣規範に抵触しているとの批判が起こったのはご存じの通りだ。しかし、それだけではなかった。

「安倍さんは、諮問会議の議長ですから獣医学部新設にかかわる職務権限を持つ立場です」

 とは、元検事で政治資金問題に詳しい郷原信郎弁護士である。

「言うまでもなく、職務権限を持つ公務員がその職務に関して賄賂を受け取れば収賄、賄賂を贈った業者は贈賄の罪に問われる。もし安倍総理が、相手は特区での獣医学部新設を目指す業者だと認識し、逆に加計理事長は相手が諮問会議の議長だとわかったうえで、それに関して奢り奢られしていると、形式的には単純贈収賄の問題になり得る。となれば、安倍総理が加計学園の申請を知った時期が重要です。だから、1月20日にこだわっているのではないでしょうか」(同)

 李下に冠を正さずどころの話ではあるまい。加計理事長だけが国会招致にも応じず、このまま不問に付されていいのか。

週刊新潮 2017年8月10日号掲載

特集「咆哮と遠吠えが交錯する『永田町』人間動物園」より

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