地銀統合に公取からの“待った” 金融庁「森長官」の怒り

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 黒田東彦・日本銀行総裁の後任に名が挙がるほど、官邸から絶大な信任を得ている金融庁の森信親長官(60)。事務方トップとして異例の3年目に突入し、泣く子も黙る存在感を見せつけている。だが、地方銀行の経営統合を巡り、古巣の大先輩との“対立”で、すこぶる機嫌が悪いのだという。

 福岡市内に本社を置く「ふくおかフィナンシャルグループ」(FFG)と、長崎県内最大の地銀である十八銀行の経営統合が“再延期”と報じられたのは、7月21日のことだった。全国紙の経済部デスクの解説では、

「FFGと十八銀行は昨年2月、今年4月をメドに経営統合すると発表しました。実現すれば国内最大の地銀が誕生するはずでしたが、今年1月、統合を10月に延期するとしていた。そして今回の再延期ですから、事実上、頓挫したと考えていいでしょう。再編論者の森さんは、この躓きには怒り心頭でしょう」

 今回の経営統合に“待った”をかけたのは、公正取引委員会だ。

「FFGと十八銀行が経営統合した場合、長崎県内の預金シェアは独禁法が禁じる50%を超え、企業向け融資のシェアは約70%に上る。公取委は独占禁止法に抵触する恐れがあるとして、経営統合の承認に難色を示したのです。現在の公取委トップの杉本和行さんは、森さんと同じ財務省出身で入省年次は6年早い。しかも、事務次官経験者という大物です」(同)

 大先輩に面と向かって批判できずとも、森長官は無為無策だったわけではなかった。

「今年1月、金融庁傘下の金融研究センターが『長崎県における地域銀行の経営統合効果について』なるレポートを書いて、FFGと十八銀行の経営統合の必要性をアピールしています。また、3月には森さんの“懐刀”の西田直樹審議官が、長崎まで足を運んで統合効果の説明会まで開く異例の対応でした」(同)

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