パナソニック主導、“サイバー攻撃”防御システムの精度

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戦場を丸裸

 監視カメラを悪用したサイバーテロは、“IoT家電”を生産・販売する電機メーカーにとっても、決して対岸の火事とはいえない。そこでパナソニックは、米セキュリティーソフト開発会社と共同で“防御システム”を開発し、東京海上日動や電子部品大手のロームなど約10社と企業連合を組んだという。一体、どんなシステムなのか。パナソニック広報部に聞くと、

「IoT機器を悪用した“ハッキング”や“なりすまし”などの防止が目的です。独自の高速計算技術を使用して、能力が低いCPUでもパソコン並みの“暗号処理”をすることで、不正な通信を監視できます。仮に、ウィルスの検出や感染が確認された場合でも通信を遮断して、犯罪者による遠隔操作や、情報流出を防ぎますが……」

 CPUとはコンピュータの制御、情報伝送機能を司る中枢部品で、いわばIoT機器の心臓部だ。パナソニックの説明の歯切れが悪いのは、防御システムという性格上、詳細を公にできないからだ。

 米中露によるサイバー戦争の実情を描いた『ゼロデイ』の著者である、国際ジャーナリストの山田敏弘氏の評価は、

「パナソニックの防御システムの精度は100%安全とはいえませんが、良い取組みだと思います。実は、IoT機器の多くはネットへのスムーズな接続ばかりを重視して、セキュリティーを疎かにしていることが少なくありませんでした。これでは、まるで戦場を丸裸で歩いているようなものでしたからね」

 今後、日常生活に浸透していくIoT。覆うべきところは、覆った方がいい?

週刊新潮 2017年7月20日文月増大号掲載

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