NHK女性アナ第1号「後藤美代子さん」逝く

芸能週刊新潮 2017年7月20日文月増大号掲載

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「こんばんは、N響アワーの時間です」。週末、﨟長(ろうた)けた美声で印象的に始まるクラシック音楽番組で司会を務めていた後藤美代子さんが、7月5日、全身塞栓症で亡くなった。享年86。

 1931年東京生まれ、お茶の水女子大卒業後、テレビ放送が始まった53年、テレビ1期生のアナウンサーとしてNHKに入局。先だって亡くなった野際陽子さんの5期先輩にあたる。「N響アワー」「オペラ・アワー」など音楽番組、日本古典芸能の「劇場中継」の司会を担当、落ち着いた語り口に、ファンも多かった。

 後藤さんの9期後にNHKに入局、公私ともに親交のあった森川靄子(あいこ)さん(77)が悼む。

「仕事には真摯(しんし)で、教養と知性にあふれ誰もが魅了されました。他方、大学時代はバスケット部にいらしたことから体育会系の活発な面もお持ちでしたよ」

 NHK初の女性チーフアナウンサーとなり、定年までアナ人生を全うした。

「今でもNHKでは、『伝説』のアナウンサーです。発音、発声、抑揚の正確さと美しさで比肩する人がいません。御自分が解説なさる歌舞伎や演劇は、必ずリハーサルから御覧になるような努力家でした」(同)

 音楽にも造詣が深かった。音楽評論家でプロデューサーの中野雄(たけし)氏(85)が言う。

「なにしろ耳がいい。落成したNHKホール1階席でウィーン・フィルを聴いて、後藤さんに『あのホールは音が悪い』と言ったら、『これは内緒だけど3階センターの最前列しか音は良くないのよ』とにっこり微笑まれた。実際に聴いてみたら、正にその通り。まったく恐れ入りましたよ」

 社内結婚だった後藤和彦さんとは夫唱婦随。

「共通の趣味はクラシック鑑賞で似合いの御夫婦でした。去年1月に旦那様が亡くなり、後を追うように逝ってしまわれました」(同)

 今頃お二人は、“天上”桟敷でオペラ鑑賞なのだろう。