小池都知事の「安倍一強」掃討作戦 “国民ファースト”立ち上げ

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■「関東限定」党?

 で、そのご本人、すでに昨年から“仕掛け”ていたというのだ。

「とにかく衆院に戻りたい一心の渡辺さんにとって、小池旋風は渡りに船だったのです」

 とは、全国紙の政治部デスク。

「彼は昨年暮れ、民進党の長島昭久代議士と2人で会食し、近く小池新党ができるからと合流を呼びかけています。が、そこで長島さんは躊躇し、結局は合意に至りませんでした」

 長島代議士もまた、4月に党を除籍されて現在に至るのだが、「みんなの党」を潰した過去を持つ渡辺議員に、あるいは不安を覚えたのかも知れない。当の代議士に聞くと、

「渡辺さんにお断りはしましたが、今の政界を俯瞰すれば、新党という道筋が有権者には分かりやすいし、望ましいでしょう。自民党に対抗し得る良質な集団を作れるのは、現在の顔ぶれで言えば小池さんなのでは、とは思っています」

 他に「国民ファースト」入党が取り沙汰されているのは、都知事選から行動を共にし、やはり3日に自民に離党届を受理された若狭勝代議士、そして無所属の松沢成文参院議員などだが、都民ファーストの事情に詳しい関係者によれば、

「長島さんと折り合わなかった渡辺さんは、国政に並々ならぬ意欲を見せている野田数代表ともそりが合わない。つまり現状では、名前が挙がっているメンバーをうまく糾合できる人が見当たらないのです」

 政党交付金は毎年、元日を基準日として支給される。このため、年内に政党の要件である5人の国会議員をかき集め、駆け込み的に立ち上げるとの観測もあるのだが、トントン拍子には進んでいないというわけだ。

「現時点で、小池知事は誰に対しても新党参加の“お墨付き”を与えていません。主導権争いをクリアしたうえで、いち早く5人を集めてきた国会議員が、晴れて名乗りを上げることになるでしょう」(同)

 あたかも女王蜂のもとへと我先に急ぐ働き蜂のごとし。もっとも、

「小池さん自身は東京五輪を知事で迎えるつもりで、新党を作っても直ちには転身しません。自治体の首長が代表を務めてきた維新のようなスタイルになるのではと見られています」(同)

 というのだが、攻め込まれる自民としては、

「『国民ファースト』が立ち上がれば、東京選挙区のすべてと比例東京に候補者を擁立し、ほか首都圏にも立ててくるでしょう。関東限定の地域政党とはいえ、これは脅威です」(前出・自民党関係者)

 なぜなら、

「東京選出の国会議員は、地方に比べて後援会組織が弱い。その代わり、これまで都議が彼らの手足となって動き回ってきました。ですが次回は、その頼みの綱が圧倒的に少ない状況で戦わねばなりません」(同)

 むろんこうした“脅威”は、来るべき審判の日まで「小池ハリケーン」の勢力が保たれていることが前提となるのだが、

「それまでに都政で実績を作れるのでしょうか」

 そう訝(いぶか)るのは、さる政治ジャーナリストである。

「知事選でドンを敵役に仕立てて勝ち上がり、情報公開を旗印に喝采を博しましたが、石原元知事を喚問した百条委員会では思ったほど成果を上げられなかった。選挙前に『豊洲移転で5年後に築地再開発』を掲げても、再開発の財源は明らかにせずじまい。今回の結果は実績の評価と言うより、完全な自民のオウンゴールです」(同)

 悪運も実力のうちなのか。政治アナリストの伊藤惇夫氏は、

「小池さんにしがみつきたい人があれこれ蠢(うごめ)いているわけですが、彼女は敵がいないと生きていけない。東京で無敵となった今、あとは国政に出ていく選択肢しかない。寄せ集め集団になるとはいっても、国会に反・安倍一強の受け皿がないのは事実。かつての日本新党のような大量議席獲得も十分あり得ます」

 赤絨毯までも、緑色で染められそうなのだ。

週刊新潮 2017年7月13日号掲載

特集「観測史上最凶『小池ハリケーン』」より

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