40代から衰える喉の筋肉 「誤嚥防止」のための生活習慣

ドクター新潮 医療 肺炎

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 嚥下をスムーズに行うための喉の筋肉は、早い人だと40代から衰え始める。普段の挙措のなかで、どんなことに注意すれば、年を取ってからのリスクを防げるのだろうか。日常生活の習慣を見直してみる。

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「誤嚥性肺炎を男女比で見ると男性の患者さんの方が多い。その理由ははっきり分かっていませんが、傾向としては確実にありますね」

 そう話すのは、仙台赤十字病院呼吸器内科部長の三木誠医師だ。

 事実、喉の筋力を示す「喉仏」の位置は、もともと女性の方が高めだが、60代、70代と年を取るにつれて、男性の方が顕著に下がってくる。

 これには諸説あるが、一般に、男性は定年退職すると、人付き合いも少なくなりがちで、勢い、喋る機会も減ってくる。一方、女性は井戸端会議という言葉どおり、高齢になっても外出や日常の友達付き合いを欠かさない人が多い。

『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)の著書がある西山耕一郎医師も言う。

「男性の喉仏が下がりやすいのは、喋る量が女性より少ないことが関係しているのかも知れません。データがあるわけではありませんが、“会話量が減ると喉仏が下がる。喋らない人は早く死ぬ”という傾向を医師の多くが感じているはずです」

 その昔「男は黙って〜」というCMがあったが、喉のためにも「寡黙」は良いことではない。さらに、今のうちから習慣づけておくことは他にもある。食事中の姿勢だ。

 呼吸器疾患が専門の大利昌久医師(おおり医院院長)によると、

「顔を上に向けてご飯を食べていると、食べ物が気管に入りやすい。そのため、食事の際は少し前かがみになって食べることを心がけたらいい。かきこまずにゆっくり食べるのです」

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