700種のばい菌が1000倍に増殖 就寝中の「誤嚥性肺炎」唾液リスク

ドクター新潮 医療 肺炎

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■「3DS」と舌ブラシ

 いかに注意を喚起しても、知らぬ間に唾液が肺に入り込むリスクは残るのだが、

「そうした細菌を減らすには、定期的に歯科で『3DS(デンタル・ドラッグ・デリバリー・システム)』を行うのが有効です。これは歯型を取ったトレーの内側に抗菌性薬剤を塗り、5〜10分ほど歯にフィットさせて虫歯菌や歯周病菌などの病原菌を減らすケアです」

 むろん、日常においてはまず歯磨きである。

「1日最低2回はしましょう。最初は電動ブラシで軽く、次に2種類のハンドブラシで丁寧に磨きます。1つは虫歯用で、バイオフィルムを除去するために硬くて短い毛のタイプがよい。もう1つは歯周病用。歯周病菌も、血液を介して肺に届けば血行性の肺炎を引き起こすリスクがあります。こちらは45度に傾けて歯周ポケットに届かせる必要があるので、長くて柔らかいタイプが適しています」

 これで終わりではない。

「続いて、若い人はデンタルフロス、高齢者は歯間ブラシで歯の4面をすべて掃除し、最後に『舌ブラシ』で仕上げるとよいでしょう」

 先述した1000倍の細菌を飲み干したくなければ、起床時に軽い「空磨き」も不可欠。3分間のブラッシングを怠れば、一生を棒に振るリスクを背負うことになる。

特集「がんより怖い『誤嚥性肺炎』を防ぐ完全ガイド」より

週刊新潮 2017年6月8日号掲載

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