米メディアの「トランプ一家」包囲網 息子も娘婿も焦点に

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「フェイク・ニュース」

 トランプ大統領がまた高らかに吠えた。もはやメディア批判の定番だが……。

「今度は緊迫感が違います。ロシア疑惑をめぐる“政権対メディア”の色が濃厚。とくに決定的だったのがワシントン・ポストの5月26日の記事です。大統領の愛娘イヴァンカさんの夫・クシュナー上級顧問がターゲットでしたからね」

 と話すのはある大手メディアの在ワシントン記者。

 政権発足前にクシュナー氏が、ロシアのキスリャク駐米大使とトランプタワーで会見。盗聴の恐れがない情報ルートを求めていた、というのが記事の骨子だ。

「その他にも、情報機関のリークによるスクープが続出。ABCニュースも、トランプ氏の息子で、トランプ・オーガナイゼーションを経営するドンとエリックの兄弟に焦点を当てています」

 こちらは、FBIの係官が2人と面会し、国外から同社がハッキングされている可能性があると伝えたというもの。「だからコンピュータを調べさせろ」とFBIは要請したが、2人はこれを拒否。そしてこの面会の翌日、コミーFBI長官が解任されたという見立てである。

「FBIが本気でロシア疑惑で大統領周辺を洗っていて、トランプ陣営がその動きに危機感を持ったのは間違いないでしょう。しかし、ここ一連の報道には、米の大手メディアらしからぬ真偽不明の情報も多い。もはや心理戦の領域ですね」

 国際ジャーナリストの春名幹男氏はそう指摘する。

「世論に訴えて、今や陣営のキーマンであるクシュナー氏を外せれば、一気に政権は弱体化します。それに、公私混同疑惑も数多くあるトランプ氏だけに、その財産を引き継ぐ2人の息子が弱点なのもたしかです」

 だが、大統領も踏んばる。メディア対策に長けたバノン上級顧問をリーダーに“作戦司令室(ウォー・ルーム)”を設置。一進一退の攻防がまだまだ続く。

週刊新潮 2017年6月8日号掲載

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