上田桃子、3季ぶりV “熊本の悪夢”と“肝っ玉母さん”

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上田桃子(Wojciech Migda/Wikimedia Commonsより)

「神様が助けてくれた」

 上田桃子(30)の母、八重子さんは試合後、記者にこう漏らした。

 愛知・中京GC石野Cで開催された「中京テレビ・ブリヂストンレディス」は、最終組15番終了時点で桃子、テレサ・ルー(29)、川岸史果(22)が首位タイという大接戦を繰り広げていた。

 桃子といえば4月、地元熊本で行われた大会で最終ホール80センチのウイニングパットを外した上、プレーオフで池ポチャし、大逆転負けを喫したばかりである。

 ちなみに、八重子さんはこのときの池ポチャを、

「よくやった、桃子! 攻めて負けたんだから後悔はない!」

 と讃えたのだとか。まさに、“肝っ玉母さん”である。

 話を戻す。

 16番。桃子はティーショットを大きく左に曲げた。OBだと誰もが思ったが、球はごつごつした岩に当たり、フェアウェー近くに跳ね返った。そんな神様のアシストで、桃子はバーディを奪い、単独首位に立つ。

 17番はグリーン上に神様がいた。6メートルのパーパットがカップイン。桃子は首位を堅持する。

 最終18番は、熊本の悪夢が脳裏をかすめた。桃子のアプローチショットはピンを越え、グリーン外へ零れ落ちる勢い。縁を越えたらその先は刈り込んだ急勾配で池ポチャ必至だ。が、

「まさに縁の際でピタリと止まった」(ツアー記者)

 かの地熊本でオイタが過ぎたゴルフの神様は、この地愛知で罪滅ぼしをしたのか。桃子もそれに応え、最後はバーディフィニッシュ。3季ぶりに優勝を果たした。

「今年勝てなかったらゴルフをやめようと思っていました」

 とは試合後の桃子。

「まだ頑張れ、っていうことかな」

 きまぐれな神様との丁々発止はまだ続く。

週刊新潮 2017年6月1日号掲載

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