FBI長官解任で早くも“トランプ弾劾”シナリオ

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脅しがすっかり裏目に

 今、米政界で非常に話題となっている新刊がある。

『弾劾の事例(ザケースフォーインピーチメント)』――。

「著者はアラン・リクトマンという名門アメリカン大学の政治史教授です。トランプ当選を含め、これまで8回連続で米大統領選の結果を独自の手法で的中させた人物。そして今度は、“トランプ大統領は弾劾される”と予想しています」

 と話すのは、在米のあるジャーナリスト。

「ウォーターゲート事件のニクソン大統領などの例を交えて、トランプ氏の財産問題など数々のポイントを俎上に載せているのです」

 本の中身もさることながら、タイミングも良かった。5月9日に同大統領は、コミーFBI長官を“お前は首だ!”とばかりに解任。その理由と手法、脅迫的な言動があまりに無理筋で、弾劾を想起させているのだ。

「表向きの解任理由はクリントン元国務長官のメール問題捜査の不手際。でも、本音はロシアによる米大統領選介入疑惑の捜査を止めるための人事だ、と誰もが推測せざるを得ない。弾劾に一歩踏み出しました」

 と話すのは、国際ジャーナリストの春名幹男氏だ。

「弾劾にはたしかな証拠が必要で、その場合“嘘”をついているかどうかが大きい。すでに嘘をついている可能性も十分にあります」

 クリントン元大統領がモニカ事件で弾劾訴追までいったのも、焦点は不適切な関係ではなく、嘘で糊塗、言い訳したことだった。

「もっとも、弾劾の手続きは長く、賛成議員の数も必要。だから、ポイントは来年11月の中間選挙ですね。それまでは、共和党は混乱を避けて大統領を庇うでしょうし、民主党は共和党が支持を失うのを眺めていればいいのです」(同)

 トランプ混乱劇場、最終幕は少し長めの予定です。

週刊新潮 2017年5月25日号掲載

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