高樹沙耶「大麻と私」全告白(上) 家宅捜索に「これで終わった、と思った」

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■“これで、終わった”

〈高樹沙耶(本名・益戸育江)が、厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部などの合同捜査本部に大麻取締法違反容疑で逮捕されたのは、昨年10月25日のことである。人気ドラマ「相棒」のレギュラーを降板し、2011年から移り住んだ沖縄・石垣島でのことだった。その地では、「虹の豆 浮世離れ」なるコテージを経営する一方、一緒に逮捕された自称・大麻草研究家の森山繁成被告(58)、小見祐貴被告(26)らと一つ屋根の下で暮らすという奇妙な生活を送っていた。今年1月23日から始まった裁判では、彼女は大麻の使用は認めたものの、所持については一貫して否定した〉

 逮捕当日、私は川平(かびら)湾を望む山の中腹にある自宅にいました。コテージから車で10分くらい離れた場所です。その日は、なんだか胸騒ぎがし、早朝5時に目が覚めた。散歩をしたりしてから、スマホでツイッターやフェイスブックをチェックしていると、午前7時ごろ、小見君の「育さーん!」と呼ぶ声が聞こえてきました。どうしたのだろう?と思い、母屋のデッキに出てみると、30人ほどの男女がズラッと並んでいる姿が目に入った。全員、黒いウィンドブレーカーを着ていて、麻薬取締官だということはすぐにわかりました。その瞬間、“これで、終わった”と思った。

 すぐさま、私は取り囲まれ、そのうちの1人から家宅捜索令状を示されました。

 麻薬取締官はいくつかのグループに分かれ、母屋、物置小屋、庭などの捜索を始めた。

 証拠隠滅の恐れがあるからと、私は居間の椅子に座らされ、許可なくトイレに立つこともできませんでした。隣では、30代の男性麻薬取締官がずっと目を光らせていました。途中、「落ち着いていますね」と声をかけられましたが、内心はドキドキでした。自分ではキッチンには行けなかったので、「お水をください」と何度も頼みました。

 棚のなかから下着ケースまで、あらゆるところが調べられた。静岡で暮らす年老いた母のことが思い起こされ、とても辛くなりました。

 と、そのとき、「出ました!」と麻薬取締官の1人が叫んだ。家宅捜索の開始から30分も経たずに、大麻は発見されたのです。居間の隣の小見君の部屋で、机のうえに置かれたおせんべい入れの銀色の缶に隠されていました。あまりにあっけなく見つかったので、彼らも拍子抜けしたらしく、「あれほど目立つ活動をしていて、隠し場所を考えたりはしなかったのですか?」と呆れられました。

 森山さんが大麻をどこに隠しているのか、私は本当に知らなかったので、あんなところに?と少し驚きました。

 麻薬取締官がおせんべいの缶を目の前に持ってきて、「これは、なんですか?」と、私に質問した。最初、「葉っぱですね」と答えました。重ねて、「これは、なんですか?」と問い詰められ、もはや諦めた気持ちになり、「大麻です」と認めました。発見されたのは、55・612グラム。吸引100回分に相当する量であると、のちに報じられました。

 さらに、自宅の土地と建物は私の所有になっていたから、「大麻はあなたのものでしょう?」とも聞かれた。私は、「森山さんのものです」と否定しました。他に、大麻を吸うためのパイプなども見つけられました。

 大麻が発見されると、別々の部屋に分けられていた森山さんと小見君も、居間に集められた。

 そして、女性の麻薬取締官が私たち3人に向かって、「この植物片が大麻かどうかの検査をします。試薬が赤になれば大麻です」と告げた。透明の液体が入った試験管のような容器に植物片を入れ、数回振る。すると液体は赤に変化しました。

 午前10時過ぎ、「あなたたちを逮捕します」そう宣告され、ガチャンと手錠をかけられたのです。

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