120歳まで生きたい「オノ・ヨーコ」の認知症 周囲が感じていた“異変” 

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■「120歳まで現役宣言」

 救急搬送されたという事実、意思の疎通が長らく取れなかったという焦燥、あるはずのメッセージがない虚無感、日々の状態にムラがあり、それが続くという病の予感……。何か違うものがヨーコのなかに生まれつつあり、それらがあげて16年に集中している。ゆかりある者たちがそれぞれに異変を嗅ぎ取っていたなかで、決定的な回答をしたのが啓輔氏だったということになる。

 ヨーコは08年、NHKの番組に出演してこう語っていたことがある。

〈今74(歳)ですけど毎日何か発見してるんです。自分の人生がそういうものであることに感謝してます。あと50年くらい欲しいですね。50年くらい生きられたらいいと思ってますね〉

 いわば「120歳まで現役宣言」である。そのバイタリティや世界的な名声をもってしても、低く見積もって2300億円超と評された、札束を横にすれば東京・NY間だって結べそうなカネをもってしても、愛と平和の伝道師であったとしても、病魔の進行にはなす術がない。

 先の岩坪教授によると、

「ゆっくりと病気は進行し、だんだんと表情が重くなり、寝たきりになったり合併症を起こしたりして命を落とされることが多いですね。だいたい10年以内の間のことです」

 自身の体なのにまつろわぬところがあって、その自覚が遅かれ早かれ失われゆく。忘れつつある女は、その先への不可逆的な道筋を進んでいくだろう。運命のいたずらという無常と実弟の示したような諦念。その間を行きつ戻りつする他ないのが我々である。

特集「実弟が病状を告白! バイタリティも巨万の富も病魔を阻めなかった!! 120歳まで生きたい
『オノ・ヨーコ』の幻覚型認知症」より

週刊新潮 2017年5月4・11日ゴールデンウイーク特大号掲載

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