突如退任「ローソン」玉塚会長にM資金めぐる疑惑 確約書に“資金をお受けいたします”の直筆

ビジネス 週刊新潮 2017年4月27日号掲載

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■かつては全日空社長も

玉塚氏がサインしたペーパー

 掲載されているペーパーの写真をご覧いただきたい。ローソンの社内用箋と思しき紙に、

〈確約書 資金者殿 この資金をお受けいたします。宜しくお願い致します。玉塚元一〉

 とある。直筆のメッセージの側には玉塚氏の名刺が貼られ印鑑が4カ所に押されている。そして、住所と自宅の電話番号に携帯の番号も。

「資金」を受けるとは何のことなのか、一見しただけでは分からない。ローソンは利益剰余金(内部留保)が約1600億円もあって事実上の無借金経営だからだ。何より、サインは、本人が書いたものなのだろうか。この怪しいペーパーが出回るのは1年半ほど前からだが、その前後から玉塚氏が「M資金」話を持ち歩く人物と接触しているという噂が流れていた。

 スター経営者とM資金。にわかには信じがたい取り合わせだが、それを解き明かす前にM資金について説明しておこう。

 そもそもM資金は詐欺に使われる舞台装置の一種だ。

「M資金の『M』は、GHQの経済科学局長だったマーカット少将の頭文字を取ったものです。そして、資金とは終戦直後、進駐軍が日銀などから押収した金品がルーツともいわれている。資金はやがて、日本の指導層が管理するようになり、有望な企業や人材のためにひそかに超低利で融通されてきたとされている。数兆円から数京円という天文学的な金額とされていますが、もちろん、すべてインチキ話です」(M資金詐欺を取材してきたジャーナリスト)

 M資金話を持ち歩く詐欺師は資金を“受ける”ための条件をつけてくる。直筆の念書や、少なからぬ「保証金」を求めてくるのが一般的だ。うっかり応じると金だけを騙し取られたり、サインした書類が別の詐欺に使われたりするはめになる。まさか、そんなバカな話に騙されるわけがないと思うのは早計で、

「M資金詐欺の現場では、資金の複雑なチャート図や、役所が書かせるような申込用紙などのもっともらしい書類を使い、政府関係者や皇室関係者を名乗る者が同席したり、時には本物の国会議員が登場することもあります。実際、有名人や大企業の社長が、いとも簡単にひっかかる手口がこれなのです」(同)

 被害者の多くが口をつぐんでしまうため、M資金詐欺は滅多に表沙汰にならない。だが、過去には全日空の大庭哲夫社長が騙されて失脚したり、日産自動車の副社長も引っかかって辞任している。俳優・田宮二郎の自殺の一因もM資金詐欺にあったことは有名な話だ。

 そして、玉塚氏に「M資金」にまつわる疑惑が持ち上がるのは、昨年初めのこと。

 きっかけは、あるミニコミ情報紙が、先のペーパーを手に入れ、大々的に書き立てたことだった。

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(下)へつづく

特集「直筆で『この資金をお受けいたします……』ローソン『玉塚会長』退任の裏に『M資金』と『美人詐欺師』」より

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