「金正恩」平壌取材 TBSだけが出入禁止のワケ

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■メディアに圧力

 理不尽な抗議を受け“出禁”となったわけだが、問題はその後である。

 槍玉に挙げられた番組に脱北者の一人として出演した川崎栄子氏によれば、

「実は、TBSから次回も出演して欲しいというオファーがあって、テレビ朝日からも同様の依頼がありました。ところが、総連の抗議以降、これらの番組の担当者から“出演はキャンセルになりました”という連絡が来たのです。その理由を明確に教えてくれることはありませんでした」

 川崎氏は国連でも北の実態を訴え、金正恩から“暗殺指令”が下っている。まさに命がけの告発者なのだ。

「私の発言が不都合だから抗議してきたのでしょうけれど、総連はいったい何の権利があってメディアに圧力をかけるのか。日本の国民には真実を知る権利があり、どんなテレビ局であろうと報道の自由が保障されています。抗議に屈したテレビ局も弱腰だと思いますが」

 朝鮮半島事情に詳しい、関西大学の李英和教授はこうも言う。

「平壌に行ったからといって、現地では決められた場所でしか取材できません。飢えて困窮する国民が沢山いても、そういう光景は一切撮影させないのです。街には“ヤラセ”で用意された群衆が歩き、北がいかに栄えているかを演出するため、報道陣の質問にはこう回答せよという想定問答集が配布されています。間違えた受け答えをすると罰せられるのは言うまでもありません。総連も日本のメディアも、あまりに子供じみた対応をしていると思いますね」

 これらの指摘に対してTBS広報部は、

「取材や編集、番組制作の過程などについては、お答えしておりません」

 テレビ朝日広報部も、

「番組の制作過程につきましては、従来お答えしておりません」

 と言うばかり。都合の悪いことはシャットアウトなんて、いったいどこの国のメディアなのか。

ワイド特集「花の命は短くて」より

週刊新潮 2017年4月27日号掲載

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