明日「北朝鮮」軍創設85周年、金正恩の示威行為は ICBMが最終段階

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 その一報に一瞬ビクッとし、胸を撫で下ろした。そんな向きも多かったのではないだろうか。金正恩のミサイル発射が失敗に終わり、ひとまず米朝衝突は回避された。しかし、裏ではICBMが着々と完成に近づき、むしろ危機は最終段階へとより高まっているという。

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金正恩委員長

「チキンレース」の語源は、かつてアメリカで行われていたゲームにあるという。互いに相手の車に向かって走り、どちらが先に避けるのか。避けた方をチキン(=臆病者)と呼ぶ、度胸試し、根競べの遊戯が元だ。

 となれば、この4月15日の動きだけ見ると、正面衝突を避けたチキンは、金正恩の方だったということになるだろう。

 今年1月のトランプ大統領就任以来、激しい緊張が続く北朝鮮情勢。中でも、この日はひとつの“ヤマ”と見られていた。

「15日は故・金日成主席の誕生日で、『太陽節』と呼ばれる重要な記念日。しかも今年は生誕105年の記念の年でもありました」

 と解説するのは、全国紙の外信部デスクである。

「この日まで、北サイドはアメリカに挑発的な発言を繰り返したばかりか、6度目に当たる核実験の準備も完了させていました。太陽節に合わせ、実験を行う可能性も十分ある、と見られていたのです。一方のアメリカも、シリアに電撃的な空爆を行い、原子力空母カールビンソンを近海に送り、強力にこれを牽制しました。仮に北が踏み切った場合、先制攻撃に出る可能性もあったのです。アメリカが空爆一歩手前まで進んだ1994年以来の大きな危機でした」

 むろん、アメリカが動けば北は報復に出る。韓国はもちろん、日本にも被害が及ぶことは確実で、一帯には緊張が高まった。

 しかし、既に報じられているように、15日に実際に行われたのは、平壌での大規模な軍事パレードのみ。金正恩国務委員長も観閲する中、北は7つの弾道ミサイルを誇示し、壇上の幹部も威勢の良い言葉は吐いたけれど、結局、実験は行われず。腰くだけの感は否めなかったのだ。

「さすがの金正恩も恐怖に慄(おのの)いたか、との見方が大半でした」

 と先のデスクが続ける。

「あれだけ煽って何もしなかったワケですからね。と思ったら、翌朝、日本海に面した基地から中距離の弾道ミサイルを発射しました。ただ、それも1発のみで、わずか4〜5秒で爆発するなど失敗に終わったと見られています。これではアメリカも先制攻撃の口実とはできず、“失敗した実験に対抗する必要はない”と動かず、事なきを得たのです」

 このまま事態が収束に向かえば、日本は一息吐(つ)ける。緊張が緩和に向かうことに異論はないが、懸念がひとつ――。

 金正恩は、父・金正日と比べても、核実験の実施回数は既に超え、ミサイル発射も多数。しかも、海外の空港で、禁じられた化学兵器を使って異母兄を殺す人物である。そんな男が、これで矛を収めるなどということがありえるのだろうか。

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