【トクホの大嘘】「魔法の成分」難消化性デキストリンは効き目ゼロだった(下) 脂肪の吸収抑制・排出増加も嘘だらけ

社会 週刊新潮 2017年3月30日号掲載

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■ラットに対する実験結果

 難デキの効能を裏付ける論文の根幹部分。それが山本氏の査読により、あっさりと崩れ去ったのだ。が、この論文の「嘘」はこれに留まらない。そこにはラットに対する実験結果も記されているのだが、これについても数字上のゴマカシがある、と山本氏は看破する。

「行われている実験は、ラットに対して、難デキを餌中に0%、2・5%、5・0%入れた実験群に分け、糞便中の脂肪量と、胴回りについた脂肪の減少量を比較したものです」(山本氏)

 その計算式については別掲の〈引用論文の問題点2〉を見ていただくとして、実験結果の「まやかし」を山本氏に解説してもらうと、

「難デキ2・5%の実験群では計算上、実験期間中に0・98グラム、5%の実験群では1・39グラムの脂肪が吸収されずに糞便として排出されたことになる。一方、胴回りの脂肪の減少量は前者が4・6グラム、後者が6・4グラム。難デキに脂肪吸収抑制効果があるなら、糞便中の脂肪量と胴回りの脂肪の減少量は近い値を示すはずなのに、大きく乖離した値となっている。脂肪の減少は難デキの脂肪吸収抑制効果では説明できないのです」

 松谷の07年論文に目を転じても、やはりそこにはおかしな点がある(引用論文の問題点3参照)。

「難デキの量が5グラムの実験群の血中の脂肪の減少率は27・2%で、難デキ10グラムの実験群では20・1%になっている。難デキの量が2倍になっているのに効果が下がるのは科学的にあり得ないことです」(同)

 そもそもこの論文では、難デキが脂肪の吸収を抑制するメカニズム(機序)についても不明のまま。一方、松谷の09年論文では、

「機序について、難デキが脂質を包み込んでミセルとして安定化するので腸から吸収されにくくなるといった説明をしています」

 と、山本氏。

「それが正しいのなら、ミセルに取り込まれやすい脂溶性ビタミンに対しても同様の作用が起こり、欠乏症を引き起こしかねない。しかし、『キリンメッツコーラ』の安全性に関する根拠論文では、欠乏症のリスクは否定されている。要するに、そこでは難デキが脂肪の吸収を抑える機序が明確に否定されており、大きな矛盾としてそのまま記されているのです」

 こうした指摘に対して松谷化学工業は、

「難デキの作用機序については、便中脂肪排泄、リパーゼ活性阻害の有無、ミセルの安定性などを評価して総合的に結論づけており、科学的な見地から証明されたものと考えております」

 と胸を張って見せるのだが、山本氏はこう慨嘆する。

「多くの企業の研究者が、間違いのある松谷化学の論文をそのまま引用してきた。研究者としてのレベルの問題もありますが、営業利益が目を曇らせたのでしょうか。あるいは気付いていたのに無視したのか……」
 まさにトクホの大嘘。2015年度のトクホの市場規模、6391億円という数字からも、騙されている「被害者」がいかに多いかが分かるのである。
 
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特集「6400億円巨額市場! 脂肪吸収抑制はインチキ! 分解脂肪は再吸収されていた! トクホの大嘘」より

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