【トクホの大嘘】「魔法の成分」難消化性デキストリンは効き目ゼロだった(下) 脂肪の吸収抑制・排出増加も嘘だらけ

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

■数字上のゴマカシ

 山本氏によると、難デキに脂肪の吸収を抑える効果がある、と謳うトクホ商品の多くは特定の2つの論文を根拠として取り上げている。いずれも松谷化学工業という会社の研究者らが作成した「Effect of Resistant Maltodextrin on Digestion and Absorption of Lipids」【J Health Sci, 55(5),838―844, 2009】(以下、松谷の09年論文)と「Suppressive effect of resistant maltodextrin on postprandial blood triacylglycerol elevation」【Eur J Nutr 46,133―138,2007】(以下、松谷の07年論文)である。ちなみに松谷化学工業は兵庫県伊丹市にあり、難デキの国内シェア8割を誇る会社だ。

「そもそも、難デキの製造元で作成された論文を各社で使いまわしているわけです。その時点で客観性は高くないと言える」

 山本氏はそう指摘するが、本項で取り上げる4商品全てで松谷の07年論文が、「すこやか茶」以外の3商品で松谷の09年論文が取り上げられている。

 松谷の09年論文に記されているのは、次のような実験結果だ。ヒトが10日間に亘って5グラムの難デキを1日3回の食事のたびに摂取した場合、最後の3日間では1日あたり平均1・44グラムの脂肪が糞便として排出され、難デキ未摂取の比較対照群ではそれが0・77グラムだったという。

「要するにこの論文は、難デキを摂取すると、身体に吸収されずに糞便として排出される脂肪の量が増加する、と言いたいわけです。しかし、2倍の差がついたというこの結果は、数字上のゴマカシであるかのように見えるのです」

 と、山本氏は語る。

「前提として、難デキを摂取した実験群は1日あたり平均55・0グラムの脂肪、難デキなしの対照群は54・9グラムの脂肪を摂取している。この数字をもとに、糞便として排出されなかった脂肪量の割合を計算すると、実験群は97・4%、対照群は98・6%。その差はわずか1・2%です」

 細かい計算式については別掲の〈引用論文の問題点1〉を参照していただきたい。ちなみにこの実験はわずか男女5人ずつのグループで行われており、

「そこに表れた1・2%の差は生物学の世界では誤差の範囲。このことから、難デキには脂肪の吸収を抑制する効用はない、と言えるのです」(同)

次ページ:■ラットに対する実験結果

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。