内田裕也も惚れた「チャック・ベリー」伝説

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ダックウォークもスタンダードに

 ロックンロール創始者の1人、チャック・ベリーが3月18日、世を去った。

 1926年セントルイスで生まれたチャックは55年にデビューし、「ロール・オーバー・ベートーベン」、「ジョニー・B・グッド」など立て続けにヒット連発。

「僕は当時、『スイート・リトル・シックスティーン』が好きでね。だけどレコードは国内では売られていない。父が進駐軍のツテを頼って手に入れてくれたレコードは今でも宝物ですよ」

 とはラジオDJで音楽評論家の亀渕昭信氏だ。

「チャックは曲ばかりでなく、本人が映画などのストーリーで使われることも多い。ブルース・ウィリス主演の『16ブロック』では、“どんな人だって変われるんだ。チャック・ベリーだって昔は強盗だったんだ!”なんて台詞を黒人青年に言わせるほど、生き様が認知されていたわけです」

 77年に打ち上げられた宇宙探査機「ボイジャー」には宇宙人に聞かせるため、バッハやベートーベンとともに、「ジョニー・B・グッド」が吹き込まれたレコードが積まれている。いわば人類を代表する音楽だ。

「単純明快なリフと3コードなので、誰でも弾ける。だからライブはギター抱えて1人で行って、バンドマンは現地調達していたという。ただし、ギャラは事前に半分払われないと行かない。若い頃、随分興行師に騙されたそうですね」(同)

 ロックンローラー内田裕也氏の印象に残っているのは、66年に初来日したビートルズの日本武道館での公演という。前座で出演したあと、彼らを見ていると、1曲目はオリジナル曲でなく、チャックの「ロック・アンド・ロール・ミュージック」だったからだ。

「数々の名曲をつくり世界を熱狂させたチャック・ベリー! あらゆるミュージシャンに影響を与え続けたチャック・ベリー! 本当に凄いミュージシャンだった! GO GO! GO JOHNNY GO!」

 享年90。大往生である。

週刊新潮 2017年3月30日号掲載

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