中田は×、千賀○ メジャーがつけた「侍ジャパン」意外な値札

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 映画「マネーボール」の主人公・ビリー(アスレチックスのGM)は、従来にない理論で有望選手を見出していった。WBC(ワールドベースボールクラシック)で大奮戦の選手もまた、日本での評価だけではメジャーリーグから声はかからない。ネット裏から見つめるスカウトたちは「侍ジャパン」の誰に注目しているのか。

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今年のWBCはアメリカの初優勝で幕を閉じた

 アメリカではシーズン前の余興扱いだが、わが“侍”たちにとってWBCは、メジャーリーグへの絶好のステップだ。

「WBCの決勝トーナメントはメジャー球団の球場で、向こうと同じボールを使い、外国人選手を相手にプレーを見せられる。スカウトにとっても条件がそろった環境で日本人選手を見られる絶好の“品評会”なのです」(スポーツ紙記者)

 というわけで、さっそく、中田翔(日本ハム)にレッドソックスとカージナルスのスカウトが熱い視線を送ったとスポーツ紙が報じているが、実際のところ、どうなのだろうか。

「私は懐疑的ですね」

 とはメジャーリーグ評論家の福島良一氏だ。

「たしかに今大会、中田の調子はいいけど、普段から彼には波があって、ムラのある選手と見ている。それに、メジャーは一般的に右投手との対戦に有利な左打ちを欲しがる。右打席に立つ中田に注目しているとは考えにくいのです」

 松井秀喜以来の逸材といわれる筒香嘉智(横浜)も評価は高いが、ドミニカのウインターリーグに参加した際の成績が良くなかったことがマイナスポイントだ。ならば、今大会のラッキーボーイと持てはやされている捕手の小林誠司(巨人)はどうか。

■4年で60億円

「そもそもメジャーで日本人の捕手は評価されていません。体格的にも、投手とのコミュニケーション能力という点においても小林はリストアップの対象ではないでしょう。過去には城島健司がマリナーズに行きましたが、投手陣とぶつかったことも悪い前例になってしまっています」(同)

 野手や捕手はスカウトの眼中にないというのだが、逆に、注目されているのが投手だ。

 メジャーリーグ研究家の友成那智氏が言う。

「たとえば秋吉亮(ヤクルト)は、変化球をたくさん持っているしコントロールも抜群。変則スライダーに慣れていないメジャーのバッターが彼の球を打つのは難しい。リリーフピッチャーとして2年で6億円なら妥当です」

 さらに、友成氏が推すのが千賀滉大(ソフトバンク)だ。

「高めの速球とフォークの使い分けができる。向こうではヒジの故障に繋がりやすいため、フォークを好んで投げる選手が少ない。バッターの前でワンバウンドする“おばけフォーク”を叩き込めるのは強みです。(前田健太のような)先発ピッチャーなら4年で60億円も夢ではありません」

 ちなみに菅野智之(巨人)も「即戦力」として評価は高いが、大卒でプロ入りしたこともあってFA権取得は30歳前後になってしまうのがネックだ。

 果たして“侍”の中から何人のメジャーリーガーが生まれるのだろうか。

ワイド特集「贈る言葉」より

週刊新潮 2017年3月30日号掲載

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