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2023年、老朽分譲マンションが250万戸強に! スラム化を左右する〈良い管理、悪い管理〉

マンションの悪循環が始まれば、行き着く先はスラム化

 今から6年後の2023年、築30年超の老朽分譲マンションが全国で250万戸を超えるという(国土交通省調べ)。その頃にはまた、団塊の世代の後期高齢化で、マンションの「空き住戸」が深刻化するとも予測されている。マンションの悪循環が始まれば、行き着く先はスラム化。

 では、荒廃を避けるにはどうすればいい?

「自分たちの未来は、自分たちで守る」と、マンション管理士や住宅コンサルタント、資産運用家らは口を揃えて語る。そして、「守る」ためには、「管理会社に任せ切るのではなく、住民から構成される『管理組合』を充実させること」だと。

「管理組合」の役割は、①財産の保全、②共有部分の維持、管理、③安心、安全な環境作り、④管理会社の管理。いずれも、スラム化回避に必要不可欠な事柄だ。

 最近マンション管理士の間で話題なのが『実録 水漏れマンション殺人事件』なるノンフィクション。同書は、著者、久川涼子さんのマンションで起きた殺人事件と、それにより次々と襲いかかった地獄のようなトラブルを綴ったノンフィクションだ。

 殺人はそうそう起こらないトラブルではあるものの、モンスター住民とのもめごとや、耐震偽装や手抜き工事など、マンションにまつわるトラブルは絶え間なく起こっている。

 最近では札幌で突然、賃貸マンションの壁が崩落し、その結果20年間も自治体への建物の状態報告がなされていなかった事例もみつかった。

 同書を自分のマンションに置き換えて読むとどんなマンション管理がダメなのかがみえてくる、とマンション管理士は言う。

【ダメなマンション管理】

「水漏れの裁判は決して珍しいことではない」と弁護士。明日は我が身……かもしれない

①「管理組合」の無関心 久川さんのマンションでは、母子2人暮らしの一室で息子が母親を殺害。その際に水廻りを破壊したため、下階に母親の血が混じった水が大量に漏れ続けた。ところが、事件直後の「管理組合」ミーティングの参加者はたったの5人。住民は事態に無関心で、すべてを管理会社に〈丸投げ〉した。

②管理会社の〈言いなり〉
〈丸投げ〉先の管理会社との関係は、新築時以来の馴れ合い状態。住民意識が低いため管理会社の〈言いなり〉で、管理委託費の明細を精査したことすらなかった。案の定、水漏れ修復工事の打ち合わせ過程で、管理会社が修理修繕を発注している業社から、常々、バックフィーを受け取っていることが判明。

③殺人事件の部屋を長期間〈放置〉
 母親が亡くなり、息子が警察や精神病院の保護下に置かれたため、殺人事件の部屋が「空き住戸」に。「管理組合」から親族への働きかけや、弁護士への相談はなく「空き住戸」が長期化した。

④マンション価格が〈下落〉
 殺人が起きたマンションの市価は、2割減が相場(殺人事件の部屋自体はより減額)。さらに「空き住戸」の噂も流れ、事件から1年後には、近隣同クラスのマンションに較べ異常に価格が下落してしまった。

 あちゃー。殺人事件そのものは避けられなかったとしても、それ以降の悪循環は、「管理組合」の無策が招いたことがよくわかる。逆にいえば、良いマンションは「管理組合」が充実していなければ実現しないのだ。そこで、マンション管理士に、良いマンションを示すとっておきのツボ(見分け方)3点を教えてもらった。

【良いマンション管理】

①管理規約を〈カスタマイズ〉
 マンションのルールを記した管理規約は、一般に、国交省の指針「マンション標準管理規約」を雛形にしている。つまりあくまで雛形なのだ。管理規約を、マンションの実態に合わせて小まめに改定しているマンションは、99パーセント良いマンション。カスタマイズは、住民意識やルール遵守の高さを意味する。

②「ゴミ置き場」がきれい
 魂は細部に宿る! 「ゴミ置き場」が清潔なマンションは、住民意識と管理会社の質が高く、しかも両者の関係が良好な現れ。

③管理費と「修繕積立金」のバランスが良い
 マンションの維持管理費用は、大別して管理費と「修繕積立金」の2つ。通常、新築分譲マンションは、売り手の販売戦略上、発売当初の「修繕積立金」を低く設定し、買い手の月々負担が少ないように見せる。ところが、そのままでは、将来の大規模修繕時に資金不足に陥ってしまう。「修繕積立金」を長期修繕計画に沿って検証、改定したマンションなら安心だ。

 さて、おたくのマンションは〈良い管理〉? 〈悪い管理〉?

デイリー新潮編集部

  • 2017年3月27日 掲載
  • ※この記事の内容は掲載当時のものです

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