テレ朝「サヨナラ、きりたんぽ」 秋元康に非難のワケ

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 その昔、山籠もりする農民が、神へのお供えにしたとされる「きりたんぽ」。名称は筒状の湯たんぽや槍の先に付ける袋に由来すると言われているが、こともあろうにその形を男性の局所になぞらえてしまったのがテレビ朝日の春ドラマである。企画・原作は、あの秋元康氏だが、悪ふざけにも程があると秋田県民の怒るまいことか。

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渡辺麻友

 問題になったのは、4月から放送される日曜深夜0時40分からの連続ドラマである。AKB48の渡辺麻友演じる「桐山さおり」が、自分を裏切った男に復讐するというストーリーだが、その方法が、相手の局所を切断するというやり方だ。

〈まゆゆが平成の阿部定に――!?〉

 深夜枠だから、多少下品でも許されると思ったのか、テレ朝のホームページにも思わせぶりなコピーが並び、付いたタイトルが、

〈サヨナラ、きりたんぽ〉。

 形状がナニに見えて、しかも「きり」という言葉が阿部定事件を連想させるのは言うまでもない。もっとも、これに黙っていなかったのが、きりたんぽをこよなく愛する秋田県民だ。

 大館市内の比内地鶏を使うきりたんぽ料理店の店主が言う。

「私が知ったのは、3月5日(新ドラマ発表の翌日)のニュースでしたが、耳を疑ったよ。阿部定事件をモチーフにしたそうだけど、きりたんぽは、ただの食べ物じゃなく秋田に根付いている食文化。県民全体が侮辱された気持ちですよ」

 秋田県庁もさっそく動いた。県庁や鹿角市、本場大館きりたんぽ協会など6団体の連名でテレビ朝日に抗議すると、慌てた局は3月7日にタイトルを撤回。きりたんぽもドラマの中に登場させないことが決まる。

「放送前とはいえ、秋田県の皆様にご不快な思いを与えてしまい、申し訳ありませんでした」(テレビ朝日広報部)

 テレ朝は平身低頭だが、県庁の担当者は怒りが収まらないのだ。

「人の口に入るものを男性の局部のように演出するのはあり得ないでしょう」(秋田県庁観光戦略課あきたびじょん室室長)

 それにしても、最近の秋元氏、チョンボが目立ってしまうのはどうしたことか。

■サヨナラ、鍋奉行

秋元康

 昨年秋、「欅坂46」のメンバーにナチス風の衣装を着せてユダヤ人団体から猛抗議を受けたのはご存じのとおり。「監督不行き届きだった」と秋元氏は全面陳謝だったが、今回はCDの売上げが低迷気味のAKB48にテコ入れしようとしたのが仇になったのか。

 秋元氏の事務所に聞くと締め切りまでに返答がなかったが、ドラマ制作プロダクションの関係者が言う。

「実を言うと、秋元さんも発表まであのタイトルを知らなかったんです。企画の段階では“『サヨナラ、鍋奉行』がいいんじゃない?”って言っていたのが、いつの間にかプロデューサーや出演予定の男性俳優らが盛り上がって、きりたんぽになってしまった。確かに最近の秋元氏は、企画と言っても大筋を指示するだけで現場に任せてしまうことも多いのが実情です」

 AKB48を始め、「乃木坂」や「欅坂」など、最近のAKBグループは総勢500人以上のアイドルを抱え「水ぶくれ気味」なのも事実である。

 上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)が言う。

「秋元さんが知らないままテレ朝がタイトルを決めることなど本来あり得ない話です。それがいかにも簡単に通ってしまうのが今のテレビ界のレベルを示していると言えます」

 秋元氏の「我が世の春」はいつまで続くのだろうか。

ワイド特集「我が世の春」より

週刊新潮 2017年3月23日号掲載

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