シャープの次は東芝半導体!「鴻海」劇場第2幕

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“打倒サムスン電子”

 つまり、鴻海が買収に成功すれば、即座にNAND型フラッシュメモリ業界トップレベルに君臨できるわけだ。

 が、鴻海はシャープ買収に巨額資金を投じたばかり。仮に、“東芝新会社”の株式51%を得るにしても、少なくとも1兆円以上の資金が必要になる。

「買収資金は、それほど重要な問題ではないと思います」

 こう語るのは、中国・台湾事情に詳しいジャーナリストの高口康太氏だ。

「鴻海がシャープ買収をぶち上げた際、台湾メディアや財界は“できるわけがない”と冷ややかな反応でした。それが買収に成功し、シャープの2017年3月期決算は3期ぶりに474億円の営業黒字に転換する見通し。目下、郭会長の評価はうなぎ上りで、台湾政府や財界のみならず、日本のメガバンクも資金支援を惜しまないでしょう」

 シャープ買収では、日本のメガバンク2行が鴻海へ3000億円規模を融資している。鴻海からの要請があれば、二つ返事で資金支援を約束するはず。経済誌の家電担当記者の解説では、

「郭会長が抱く野望は、アジア最大の“家電メーカー”サムスン電子を凌駕すること。鴻海はアイフォンなどの組み立て企業に過ぎませんでした。それが世界有数の液晶技術を誇るシャープを傘下に収めたことで、部品メーカーとしても一目置かれる存在になった。これで東芝の半導体事業を手に入れれば、“打倒サムスン電子”も夢物語ではなくなります」

 東芝の半導体事業も、郭会長の野望実現のための“引き立て役”。その時が迫っている?

週刊新潮 2017年3月16日号掲載

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